2022年8月5日
C2680の材質について、概要や成分、性質を解説
C2680の材質についてご紹介します。
C2680は真鍮(黄銅)の1種で、一般的によく使われている銅合金のひとつです。
材質について理解を深めることはモノ作りにおいてとても重要です。
今回のコラムではC2680の概要や成分、そして性質(材質)について、東京都大田区の金属加工会社である弊社、エースが詳しくご紹介します。
一般的によく使われるC2801との違いやC2680の用途についてもご紹介しますので、設計や加工時の再確認としてご参考ください。
真鍮について
C2680の材質について詳しく解説する前に、真鍮について簡単にご紹介しましょう。
真鍮とは銅合金(銅・亜鉛)の1種です。
真鍮の他、青銅が銅合金の代表格として挙げられますが、その歴史は古く、人類が銅合金を発見し、使い始めたのは紀元前といわれています。
青銅は貨幣の他、大砲・銃身などに使われてきたことから砲金(ほうきん)とも呼ばれており、現代でも10円玉などで使われている身近な銅合金として知られています。
一方、真鍮(黄銅)は貨幣をはじめ、真鍮めっきなど色々な用途で使われてきた歴史があり、機械分野においても様々な部品に真鍮が使われてきました。
今でも古い機械で、真鍮ブッシュが使われているのを見かけることがあります。
現代では、5円玉硬貨や金管楽器、機械部品や装飾品など幅広い用途で真鍮は使われており、身近な存在といえるでしょう。
余談ですが、最近は材料不足や価格高騰により、ベアリング不足の話題をよく耳にします。
昔に戻る形にはなりますが、ベアリングの代替品として真鍮ブッシュがお使いいただけます。
当社では真鍮ブッシュ製造のご相談も承ります。
ブッシュ内径にご要望により油溝(焼付け防止の潤滑油が回る溝)を追加することも可能ですので、お気軽にご相談ください。
C2680(真鍮・黄銅)とは
C2680は、銅と亜鉛の合金で真鍮の1種です。
今回ご紹介する真鍮「C2680」は黄銅2種や七三黄銅と呼ばれており、板材や箔などで多く流通しています。
ここでは、C2680の化学成分や特性、材質、そしてよく比較されるC2680PとC2680R、C2801との違いについてご紹介します。
化学成分
C2680の化学成分は以下の通りです。
銅(Cu) | 64.0~68.0% |
鉛(Pb) | 0.05%以下 |
鉄(Fe) | 0.05%以下 |
亜鉛(Zn) | 残部 |
純銅は銅の純度が99.9%以上の物を指しますが、C2680は銅65%、亜鉛35%の割合の黄銅です。
黄銅(真鍮)は亜鉛が含まれる割合が20%以上になるものを指し、純銅と比較すると亜鉛が含まれているため黄銅の方が硬さがあります。
特性
C2680には亜鉛が含まれているため、銅の中では強度のある材質です。
また、加工性も良好で、展延性やめっき性にも優れている材質の特性があります。
亜鉛の含有量にもよりますが、深絞り性も良いため、深絞り用として使われることもあります。
導電性や熱伝導性にも優れているため、機械や電子部品として使われることもあります。
変色はするものの錆びによる劣化は比較的しにくい材質なので、蛇口や水道管など水道関係でも一般的によく使われています。
C2680PとC2680R、C2801との違いとは
C2680は形状によって、C2680PとC2680Rの名称で流通しています。
末尾のPはPlate、RはRollの頭文字をとったもので、C2680Pは切り板、C2680Rはコイル材となります。
コイル材は巻き癖があるため、使うときには巻き癖をとってから使います。
また、C2680についてよくご質問頂くのがC2801との違いです。
C2680とC2801、どちらも真鍮ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
C2801も一般的によく使われている真鍮の一種で、強度があり展延性に優れている材質を持っています。
C2801は銅と亜鉛の割合が異なり、C2680が銅65:亜鉛35の割合であるのに対し、C2801は銅60:亜鉛40となります。
銅の割合がC2801の方が少ないため、比較するとC2801の方が強度があるといえます。
このような材質の違いがあるため、カシメ性や絞り性を求める場合にはC2680を選択すると良いでしょう。
引張強さ、曲げなどの機械的性質について
C2680の機械的性質についてご紹介します。
※硬さは参考値となります。
引張強さ(N/㎟) | 伸び | 硬さ(HV) | 比重 | 導電率 | |
O | 275以上 | 40%以上 | 66~86 | 8.47 | 27 |
1/4H | 325~410 | 35%以上 | 75~125 | ||
1/2H | 355~410 | 28%以上 | 85~145 | ||
H | 410~540 | 12~25% | 105~175 | ||
EH | 520以上 | 4~15% | 145~ |
C2680の主な用途
C2680は広い分野で使われている素材です。
主に以下のような用途で使われています。
【用途】
・端子コネクタ
・電子、機械部品、自動車部品
・水道関係(蛇口など)
・服飾(ハトメ、スナップボタンなど)
・その他(魔法瓶など)
磁性がない材質なので、磁気厳禁の機械にも使われることがあります。
このように用途を見ると、私たちの暮らしでも黄銅(C2680)はよく使われていますので、身近な銅ということがお判りいただけるかと思います。
エースはC2680(黄銅2種)の加工も承ります
エースはC2680をはじめ、様々な銅の加工を承ります。
今回のコラムでは黄銅(真鍮)C2680の材質や用途などについてご紹介しました。
C2680は加工しやすい材質ですが、設備や工具が整っている工場でないと加工が難しい場合があります。
また、「銅は専門でない」と断られた経験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
C2680をはじめ、銅の加工でお困りのことがありましたら、東京都大田区の金属加工会社エースにご相談ください!
弊社は自社工場を所有しているほか、全国の工場300社とパートナー関係にあるため、あらゆる材質、加工に対応しております。
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