2022年10月5日
C2680とC2801の違いや特徴を解説します【真鍮】
C2680とC2801の違いについて解説します。
C2680、C2801はどちらも銅合金、真鍮の一種です。
両方とも銅合金ということでよく似ていますが、違いがあります。
モノ作りにおいて素材の知識は不可欠です。
今回のコラムではC2680とC2801をテーマに、この二つの銅合金(真鍮)の違いについて、東京都大田区の金属加工会社エースがご紹介します。
設計時や加工時の確認として、ご参考ください。
また、弊社ではC2680やC2801をはじめとした様々な材質の加工に対応しております。
モノ作りで課題を抱えている方や、新しい加工会社をお探しでしたら、是非お気軽にご相談ください。
C2680とは
C2680とはどのような素材なのか、最初にご紹介します。
C2680は冒頭でもご紹介した通り、銅合金・真鍮の1種です。
真鍮は銅の純度が99.9%以上の純銅とは異なり、亜鉛が含まれている銅合金です。
C2680は一般的によく使われている素材で、板材や箔などで一般的に多く流通しています。
C2680のほか、C2680P(切り板)やC2680R(コイル材)もあり、用途に合わせて使われています。
ここでは、C2680の概要や特性、化学成分、一般的な用途などの基本的な情報についてご紹介します。
【特性・化学成分】銅65%:亜鉛35%の黄銅2種
C2680は銅65%:亜鉛35%の黄銅2種です。
亜鉛の含有量が20%以上なので、銅99.9%以上の純銅と比較するとC2680の方が硬さがあります。
導電性や熱伝導性に優れ、耐食性にも優れた材質のため、水道関係の部品としてもよく使われます。
C2680の材質について、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
詳しい化学成分や機械的性質についてご紹介していますので、是非ご覧ください。
C2680の材質(成分、性質)を金属加工のエースが解説します
用途
C2680はメジャーな真鍮であるため、幅広い分野で使われています。
【用途】
端子コネクタ、電子機器、機械部品、自動車部品、水道器具(蛇口等)、カメラ部品、魔法瓶など
絞り加工性が良いため、深絞り用の素材として使われることも多くあります。
また、磁性がないことから磁気厳禁の機械部品としてもC2680は最適です。
C2801とは
C2801も一般的によく使われている真鍮の1種です。
板材においては、C2680と並び最も汎用性の高い真鍮です。
加工しやすいだけでなく、他の銅合金と比べると比較的安価に買うことができ、入手性の良さもC2801の魅力です。
※大きいサイズ、形状によっては入手しにくい場合もあります。
C2801は手に入りやすく、加工もしやすいことから色んな用途で使われています。
五円玉に使われているので、製造業以外の方にとっても身近な素材といえるでしょう。
【特性・化学成分】銅60%:亜鉛40%の黄銅3種
C2801は、銅60%:亜鉛40%の黄銅3種と呼ばれる銅合金です。
展延性、強度、めっき性に優れており、前述しましたが安価で手に入りやすい素材なのも大きな特徴です。
C2801 化学成分(%)
銅(Cu) | 鉛(Pb) | 鉄(Fe) | 亜鉛(Zn) |
59.0~62.0 | 0.10以下 | 0.07以下 | 残部 |
冷間加工性は劣るものの、熱加工性に優れている特徴があります。
また、他の銅合金と同様に導電性にも優れていますので、幅広い分野で活用されています。
主な用途
C2801の主な用途は以下の通りです。
【用途】
配線器具部品、機械部品、板金用途、ネームプレート、装飾品(アクセサリーの金具など) など
銅合金の中でも手に入りやすい素材で、加工もしやすいメリットから、様々な用途で使われています。
色んな場所でよく見かける素材なので、とても身近な銅合金と言えます。
C2680とC2801の違いについて
C2680とC2801は、どのような違いがあるのでしょうか。
両方とも真鍮なので、導電性や加工性も良いなど特徴が似ているため、一見すると違いが無いようにも見えます。
この二つの真鍮の違いとはなんでしょうか。
C2680とC2801の最も大きな違いとして挙げられるのは、「亜鉛の含有量」です。
真鍮は亜鉛の含有量によって強度が変わり、亜鉛の量が多いとその分硬くなります。
違いについて、わかりやすくゼリーに例えてご紹介しましょう。
ゼリーはゼラチンと水分で作られており、硬さはゼラチンの量によって変わります。
ゼラチン量が少ないと柔らかく流動性のあるジュレ状になり、ゼラチンを増やすとしっかりとしたゼリーになります。
このゼリーと同じように、真鍮も亜鉛(ゼラチン)の含有量が少ないと硬さが低くなり、逆に含有量が増えると硬度が上がります。
C2680が35%であるのに対し、C2801は40%と多く亜鉛が含まれているので、C2801の方が強度や硬さがあるといえます。
つまり、C2680とC2801の違いは亜鉛含有量による硬さの違いということなのです。
こうした違いがあるので、強度を求める場合はC2801の採用を検討されると良いでしょう。
C2680はC2801と比べると柔らかくて深絞りに適しているので、目的に合わせて素材を選定すると良いでしょう。
機械的性質と物理的性質
C2680とC2801の機械的性質、物理的性質をご紹介します。
※硬さは参考値となります。
機械的性質
種類 | 質別 | 引張強さ(N/㎟) | 伸び | 硬さ(HV) |
C2680 | O | 275以上 | 40%以上 | 66~86 |
1/4H | 325~410 | 35%以上 | 75~125 | |
1/2H | 355~410 | 28%以上 | 85~145 | |
H | 410~540 | 12~25% | 105~175 | |
C2801 | O | 325以上 | 35以上 | – |
1/4H | 355~440 | 25以上 | 85~145 | |
1/2H | 410~490 | 15以上 | 105~160 | |
H | 470以上 | – | 130以上 |
物理的性質
比重 | 熱膨張係数 | 熱伝導度 | 導電率 | 体積低効率 | 比熱 | 縦弾性係数 | |
C2680 | 8.47 | 20.3 | 117 | 27 | 0.0639 | 377 | 103 |
C2801 | 8.39 | 20.8 | 121 | 28 | 0.0616 | 377 | 103 |
銅合金(C2680・C2801)の加工のご相談承ります
銅合金(C2680、C2801)について、特性や用途、そして二つの真鍮の違いについてご紹介しました。
モノ作りにおいて、適切な素材を選定する事は非常に重要です。
C2680とC2801はよく似ている素材ですが、比べてみると違いがあります。
この二つの銅合金の違いとして、亜鉛の含有量による違いが挙げられますので、用途に適した素材を選定する事をお勧めいたします。
弊社エースは、東京都のモノづくりの街、大田区にて金属加工を承っております。
今回ご紹介したC2680、C2801の加工のご相談も承っております。
※高級材のため、大きいサイズ、特殊な形状のものをご希望の場合は、別途ご相談ください。
最近入手しにくくなったベアリングの代替として真鍮ブッシュの製作も承ります。
弊社は図面を拝見し、最適な材質や加工方法のご提案(VA提案)もいたしております。
今回ご紹介しましたC2680とC2801はもちろん、あらゆる素材の加工に対応しておりますので、何かモノ作りでお困りの事がございましたら、お気軽にご相談ください。
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