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S45Cの黒染め加工を解説!素材との相性や効果などをご紹介します

2023年3月31日

S45Cの黒染め加工について

S45Cに黒染め加工を施すと、まるで黒く染めたかのような仕上がりになります。

しかしこれは染料を使用しているわけではありません。

なぜ黒く染まったようになるのか、この記事ではS45Cの黒染め加工について金属加工業者のエースがわかりやすく解説します。

そもそもS45Cは、強度や耐久性が必要な部品を製作する際に使用される金属です。

s45c 黒染め スプラインシャフト

SC材の中ではポピュラーな素材であり、比較的安価で入手しやすいためさまざまな用途で使用されます。

ただ錆びやすいため、表面処理が必要になるケースがあります。

今回解説する黒染めは、S45Cの表面にできてしまう赤錆を防ぐことができる表面処理の一種です。

その加工方法は、およそ150℃のアルカリ溶液に浸漬して、S45Cの表面に四三酸化鉄の黒錆をつけます。

黒錆の表面には四三酸化鉄被膜が形成され、その被膜が赤錆から守ってくれるのです。

※四三酸化鉄=酸素と鉄が4:3(Fe3O4)の酸化鉄のこと
※四三酸化鉄被膜=四三酸化鉄の黒色被膜のこと

S45Cは黒染めの際に熱による影響を受けにくく、その皮膜もマイクロ単位のものです。

寸法に影響が出にくいことから、機械の部品や歯車など、高い精度が求められる製品にも広く使われています。

エースは金属加工全般(機械加工、板金加工、溶接構造部品、研磨、めっき、コーティング、焼入れ)に対応しております。

黒染めはもちろんのこと、その前後に必要な機械加工や仕上げなどもあわせてご依頼が可能です。

まずはお気軽にご相談ください。
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黒染め加工の特徴

黒染め加工とは、S45Cなどの鉄鋼材の表面を四三酸化鉄という安定した不動態酸化皮膜で覆う加工のことです。

一般的には「黒染め」や「四三酸化鉄被膜」と呼ばれておりますが、その他にも「フェルマイト」「アルカリ着色」と呼ばれることもあります。

黒染め加工は、赤錆の防止や耐摩耗性及び潤滑性の向上、また外観の向上を目的として施されます。

黒染めで使われる苛性ソーダを含んだアルカリ溶液は比較的安価です。

それに加え黒染めによる被膜は1〜2μm程度と非常に薄く、ほぼ寸法に影響が出ないため、寸法を調整する後工程も必要がありません。

対してめっきは膜厚により寸法が変化してしまうため、精度が必要な場合はめっき後に寸法を整えます。

この他にも前後に必要な工程が多いため、その分コストがかかってしまうのです。

めっきのように多くの工程を必要としない黒染めは、その分コストを抑えることができます。

 

黒染め加工の工程

黒染め加工は黒錆をつけるため、黒以外の色にはできません。

では染料を使わずにどうやって黒錆をつけて表面が黒くなるのか、S45Cの黒染めの工程と共に解説します。

①脱脂
表面についている油を取るために、50〜60℃の脱脂材に5分ほど浸漬します。

③すすぎ
水で脱脂材を取り除きます。

②酸洗い
硫酸や塩酸などの強酸にS45Cを漬け込み、錆や酸化皮膜などを取り除きます。

④黒染め
表面が綺麗になったら、140〜150℃に熱したアルカリ溶液に鉄鋼材を入れ、15〜20分煮沸します。

煮沸したら、素早くすすぎ水に移して製品を冷却します。
※すすぎ水は使い回しをせずに綺麗な水で行います。

すすぎ水に素早く移さなければならない理由は、表面の水分が蒸発して酸素に触れてしまうと赤錆に変化するからです。

十分にすすいだら、水置換性もしくは水溶性防錆材に浸漬し、乾燥させます。

⑤防錆油
最後に錆にくくするために防錆油(防錆剤)で仕上げます。
※防錆油は錆びの進行を遅らせることはできますが、完全に錆を防ぐことはできません。

このような工程で黒錆をつけることで、S45Cの赤錆を防ぐことができ、黒く染まったようになるのです。

 

黒染め加工の効果や仕上がりについて

S45Cへ黒染め加工をすると、深みのある黒色に染め上がり、光沢が出ます。

高級感のある色合いになるため、工業製品だけでなくインテリア向けの製品にも採用されています。

また冒頭でもご説明しましたが、黒錆は緻密な皮膜を表面に形成するため、赤錆を防止する効果があります。

めっきとは異なり、化学反応を利用して黒錆をつけるため、剥離することがないところがメリットです。

しかし膜が薄いため、防錆油などで腐食の進行をさらに遅くさせるなどの対策が必要となります。

 

S45Cへ黒染め加工が行われるケース

S45Cはどのようなケースで黒染め加工が行われるのでしょうか。

S45Cは機械の部品、特に機械の内側にある部品に多く使用されている材料です。

例えば、自動車のエンジン周辺部品やギアの他、ブーリーやブラケットのような標準的な機械部品にも使われます。

s45c 黒染め ギア

またS45Cは、熱処理で硬度を向上させることが可能なため、強度や耐久性が必要な部品には選ばれることが多いです。

しかしS45Cは赤錆が発生しやすく、錆は強度や耐久性を低くします。

そのまま使用すると部品の交換頻度が高くなってしまいますので、黒染めを行い、防錆対策をします。

ちなみに熱処理をしたS45Cにも黒染めは可能です。

ただ、材質の硬度が高いと仕上がりの色味はこげ茶色になります。

そのため、もし外観を真っ黒にしたい場合は、めっきなど別の方法を取ることをおすすめします。

エースは黒染めの他、めっきやその前後に必要となる工程(切削・研削・研磨など)にも対応しております。

 

S45Cの防錆・外観の向上などはエースへご相談ください!

S45Cの防錆・外観の向上を目的とする黒染め加工は、表面処理の一種です。

防錆効果の他にも寸法変化がほぼないなどのメリットがたくさんありますが、用途や製品によって向き・不向きがあります。

加工前後に別の工程が必要になったり、用途によっては別の処理方法に変更した方が良い場合もあるのです。

エースは加工全般に対応しておりますので、必要な加工についてご相談を承ります。

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