2023年9月20日
C2801の旋盤加工について
C2801の旋盤加工について、解説いたします。
RoHS規制の影響によって、C2801のような鉛の含有量が低い素材の加工の需要が高まっているようです。
結論から申し上げると、C2801は板条で流通しているため、旋盤加工が必要な製品の場合は別の素材を選ぶと良いでしょう。
ですが、C2801に部分的に丸みをつけたいという場合もあるかと思います。
そのような時は加工法を旋盤加工ではなく、フライス加工を行うと良いでしょう。
高品質な製品を効率よく製造するには、材質を理解し、適切な加工法の選択が重要です。
今回は、C2801の材質を解説するとともに、加工方法について解説いたします。
C2801(銅合金・黄銅3種)特性と用途
C2801は銅と亜鉛の合金で、黄銅3種や真鍮と呼ばれる材料です。
黄銅は銅と亜鉛の割合によって物性が異なり、C2801は銅:亜鉛の割合が60%と40%のことから、六四黄銅とも呼ばれています。
C2801は黄金に近い黄色が特徴で、強度があり柔らかすぎない性質のため、加工性にも優れています。
C2801は流通量が多く入手しやすいので汎用性の高い素材で、一番身近な物だと5円玉に使われている材料として知られています。
ここでは、C2801の特長やメリット・デメリットについて解説いたします。
C2801の特長について
C2801は一般的に真鍮と呼ばれており、強度・展延性・めっき性などの加工性に優れています。
また、冷間加工性は劣り、熱間加工性に優れている特長もあります。
前述しましたが、C2801は流通性がよく、比較的安価で購入できるため、一般的によく使われている銅合金であることも特長のひとつといえるでしょう。
銅なので導電性にも優れており、電気を使う用途の製品・部品にも使われています。
C2801の詳しい性質、同じ真鍮のC2680との違いについて、こちらの記事でもご紹介していますので、ぜひご覧ください。
C2680とC2801の違いについて、金属加工のエースが解説
C2801のメリットとデメリット
C2801のメリットは大きく3つです。
●展延性・強度に優れている
●電気伝導性・耐食性に優れている
●流通量が多く手に入りやすい
展延性に優れているため、曲げや伸ばすなどの加工に適しています。
空気に触れることで表面に酸化被膜が形成されるため耐食性にも優れており、銅合金の中では亜鉛の含有量が多いため、比較的強度がある点もメリットと言えます。
また、前述しましたが電気伝導性が良いため、電気を使う部品などにもよく使われています。
さらに、材料も流通量が多く手に入りやすいので価格も安価な点も大きなメリットと言えるでしょう。
C2801には上記のようなメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。
●酸化被膜によって黒ずむ(酸化被膜の形成)
●置割れ
C2801は前述しましたが、表面に酸化被膜が形成されるため、黒ずみます。
このため、外観を重視する場合には適さないケースもあります。
耐食性を求める用途の場合はメリットではありますが、外観重視の場合はデメリットになる場合もあります。
また、製造の過程によっては置割れが起こる場合もありますので、注意をすると良いでしょう。
C2801の旋盤加工について
C2801の旋盤加工についてですが、C2801は一般的に四角い形状で流通しており、丸棒での流通はありません。
旋盤加工は基本的に円筒形の材料を回転させ工具で切削をするので、板状の材料の加工には不向きです。
四角い形状の素材を旋盤加工すると、断続切削をすることになり、芯出しが難しく、精度が出しにくくなります。
加えて、刃物へのダメージも懸念されるので、適切な刃物を選定する必要があります。
このため、黄銅で旋盤加工を行いたい場合は、C2801ではなく他の黄銅を選定すると良いでしょう。
また部分的な加工であれば旋盤加工ではなく、マシニングなど他にも方法はあります。
ですが、どうしてもC2801を旋盤加工をする必要があるなら、専用の治具や、芯を出すための治具を作ると良いでしょう。
また、丸もしくは六角など、掴みやすい形状にフライス加工してから旋盤加工を行う方法もあります。
当社では、旋盤加工時にC2801のワークを固定する治具の製作も承っております。
つかみにくいものをつかみ、快適な作業していただける治具の設計・製造を致しておりますので、お困りのことがありましたらお気軽にご相談ください。
よく旋盤加工で使われる銅について
C2801は流通している形状が四角い形状をしているため、旋盤加工には適していないということをご紹介しました。
材質がC2801でなくても良いのであれば、他の素材を選択すると良いでしょう。
鉛フリーの黄銅(丸棒)もありますので、検討することをおすすめいたします。
成分が類似していなくても構わない、ということであれば鉛が添加された加工がしやすい快削黄銅もありますのでご検討ください。
用途と加工に合った銅を選定し、使用されることをおすすめいたします。
銅の旋盤加工のポイント
銅は加工性に優れている材料ですが、旋盤加工を行う際にポイントと注意点があります。
銅の旋盤加工における注意点は2つあります。
●材料が柔らかくバリがでやすい
●加工中の熱で歪みや反りが起きる
以上の2つがあり、この注意点を防ぐポイントは以下のとおりです。
●熱をもたないようにクーラント(切削油)を使用する
●適切な刃物で加工する
旋盤加工は材料を高回転させ切削するので材料に熱を与えてしまう為、銅に適したクーラントを使用し、冷却をしてあげると熱をもつのを防ぎ歪みや反りが起きません。
また、銅に共通する注意点として、変色や傷のつきやすさがあります。
加工中はもちろんのこと、加工前後、検査においても取り扱いに注意しましょう。
エースはC2801をはじめ、銅の加工を承ります!
エースはC2801などの銅合金・純銅はもちろん、その他の材質への加工に対応いたしております。
当社、エースはモノづくりの町、大田区にある金属加工会社です。
自社内に工場を有している他、全国の町工場とパートナー関係にあるため、あらゆる素材、加工に対応する事が可能です。
C2801などの銅は扱いが難しいため、発注時には銅の扱いに慣れている加工会社を選定することが重要です。
慣れていない加工会社だと、短納期対応が難しく費用も割高になるだけなく、高品質な仕上がりが難しい場合もあります。
それだけではなく、銅は高級材ということもあり、失敗した時のリスクが大きいため、断ってしまう加工会社もあるようです。
当社は加工経験がございますので、加工会社でお困りでしたらお気軽にご相談ください。
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今回は、お客様からよくご質問を頂くC2801への旋盤加工について解説いたしました。
これまで紹介した通り、C2801は板条で流通しているため、旋盤加工が適切ではないケースもあります。
このような場合にはC2801ではなく、丸棒の黄銅を選ぶと良いでしょう。
当社では銅(C2801など)はもちろん、様々な金属、樹脂などの材料の加工に対応いたしております。
旋盤加工などの切削加工だけでなく、曲げやプレス加工、表面処理(熱処理、めっき等)などあらゆる加工に対応いたしております。
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