2023年4月6日
アルミ板の表面仕上げ・表面処理の種類
アルミ板の表面仕上げや表面処理にはさまざまな種類があります。
アルミ板は軽量で加工しやすいことから、汎用性の高い金属として広く使用されている材料です。
そして表面仕上げを施すことにより、更なる可能性を持つ金属でもあります。
例えば、耐食性(防錆)・絶縁性・密着性・摺動性などの機能の向上に期待できます。
ただ、どのような効果が得られるかにつきましては、表面仕上げの方法によって異なります。
表面仕上げの種類には主に、アルマイト処理、化成処理(パーカー処理)、めっき、塗装、研削・研磨があります。
エースはこれら(アルマイト処理、化成処理、めっき、塗装、研削・研磨)に対応しております。
その前後に必要な機械加工もあわせてご依頼が可能ですので、お気軽にお問い合わせ下さい。
ここからは表面仕上げの種類についてより具体的に解説します。
アルマイト処理(防錆・絶縁性向上)
アルミ板は一般的に錆びにくい素材ですが、決して錆びないわけではありません。
アルミ板に自然にできる酸化被膜は薄く傷に弱いため、表面に傷がつくと、その部分から白錆が発生することがあります。
このような白錆を防止するためにも、きちんと表面仕上げを行う必要があります。
アルマイト処理は、こういった錆を防止するための電解処理です。
アルミ板に対して電解処理を行うことで、人工的にアルミ板の表面に酸化被膜を生成させます。
この方法で生成された酸化被膜は、高い耐久性や耐食性に加え、絶縁性を持ちます。
そのため、アルマイト処理を行ったアルミ板は電気を流しにくくなるのです。
また、アルマイト処理は装飾目的でも行われます。
なお、通常のアルマイト処理は、粉っぽい白色になる白アルマイトのことを指します。
装飾目的で行われるアルマイト処理は、染料の温度や時間、皮膜の厚さによって幅広い色味を表現できます。
身近なものですと、アルミサッシは防錆の他に装飾目的で仕上げにアルマイト処理を施しています。
エースが製作・販売しているアルミ製の精密バイスも、アルマイト処理で仕上げております。
見ていただくと分かる通り、バリエーション豊かな色味を出すことができます。
また下の画像にもあるような赤など、上記以外のカラーにも対応しております。
特に赤と黒ははっきりと色が出やすく、綺麗に仕上がりますので、アルミ板を鮮やかな赤や黒にしたい場合におすすめです。
対応カラーに関しましては、お問い合わせフォームよりご相談ください。
その他にも、ツヤありかツヤ消し(マット)を選ぶことも可能です。
化成処理(防錆・密着性の向上)
アルマイト処理と同じように、アルミ板に防錆効果を付与する表面仕上げが他にもあります。
化成処理も表面に酸化被膜を生成することによって、アルミ板に防錆効果を付与します。
科学的に被膜を生成する方法のため、アルマイト処理に比べて被膜が非常に薄いのが特徴です。
そのため、耐摩耗性は少し劣ってしまうものの、絶縁性が向上するアルマイト処理とは違い導電性は維持されます。
また下地としてこの表面仕上げを行うことで、塗装などの密着性を良くし、美しい仕上がりとなります。
この下処理はうまくいかなければ綺麗に密着しないため、非常に重要な工程です。
ただアルミ板への下処理は精度が必要となることから、対応できる業者が限られています。
エースでは、このような技術力が求められる下処理にも対応可能ですので、ご依頼の際にお申し付けください。
めっき(機能性向上)
めっきは基本的に鉄などに対して行うものですが、最近では表面仕上げとしてアルミ板にめっきを施すことも増えてきています。
アルミ板は大変軽い材料なので、軽さを求める場合などにアルミ板を使用し、めっきで機能を付与します。
ただしアルミ板は酸素との反応性が高く、表面に被膜を形成してしまうことから難めっき材としても知られています。
そこで、ジンケート処理という置換反応による亜鉛皮膜の形成を行うことでめっきを可能にします。
アルミ板に対してめっきを行うと、電気伝導性や機械加工性などさまざまな機能を付与することができます。
付与される機能は、めっきの種類によって異なります。
また、めっきの下処理も塗装同様に対応できる業者が限られております。
エースは、アルミ板へめっきする際に必要となる加工や処理にも対応可能です。
塗装(機能性向上)
塗装は、アルミ板の表面に被膜を生成する表面仕上げの方法の一種です。
ただしアルマイト処理やめっき処理とは異なり、樹脂の被膜を生成します。
以前は非鉄金属であるアルミ板には塗装ができないというのが一般的でした。
しかし上記でご説明した通り、下地処理によって密着性を向上させることで、表面仕上げを行うことができます。
この下処理につきましては、先程もご説明した通り難しいと断る業者が多いです。
ただこの下処理を怠ってしまうと綺麗に仕上がりません。
当社は下処理などの重要な工程からその後の加工まで対応いたします。
各工程ごとに検査を実施し、品質管理も徹底しておりますので品質の点でお客様に不安を感じさせることはございません。
アルミ板へ塗装する際の下処理は必要な工程となりますので、塗装やその他必要な加工とあわせてご依頼ください。
なお、塗装の方法は様々で、吹付け塗装、静電塗装、電着塗装、粉体塗装などがあります。
この中でも電着塗装は、膜厚を均一にできて生産性が良いため、大量生産に向いています。
このように塗装の方法によってそれぞれ特長がありますので、一般的には目的に応じて塗装の方法を選びます。
樹脂被膜は外観性の向上や防錆の目的で行われますが、機能性塗装もあります。
機能性塗装は耐熱性、非粘着性、耐候性など、表面仕上げによりさまざまな機能を付与することができます。
研削・研磨(摺動性・精度の向上)
研磨は、防錆潤滑剤などをスプレーしつつ研磨剤で磨くことにより光沢のある表面に仕上げます。
アルミ板の外観や摺動性の向上を目的として行われることが多いです。
研削は、アルミ板の寸法公差を調整するために行う表面仕上げです。
フライス加工による切削を行った後に、平面研削盤を用いて研削を行うことで精度を高めます。
また、めっき等の他の処理の前後に行うことで、加工性(表面仕上げの精度)を向上させます。
エースでは研磨・研削などの表面仕上げだけでなく、フライス加工や旋盤加工など必要な加工をまとめてご対応いたします。
近年では、材料の代替が行われており、アルミ板は主に軽量化のために使用されます。
当社にも軽いアルミ製の検査治具の製作のご依頼があります。
検査治具は製品の形状などにあわせて台を交換する必要があるため、製品によっては重量が大きくかかってしまいます。
そこでアルミが選ばれるのですが、検査治具は非常に高い精度が求められます。
平行度・直角度・平坦度などの幾何公差が厳しいため、研削・研磨加工により精度を出します。
なぜなら、そこまで精度を出さなければ検査治具として使用できないからです。
切削加工でも精度を出すことはできるものの、穴が開いていると捻れてしまうことがあります。
そのため形状によっては研削・研磨で仕上げる必要があるのです。
表面処理が施されたアルミ板の用途
アルミ板は表面処理や表面仕上げを行うことで、さまざまな機能が付与されることから、工業や産業分野にも使用されています。
身近なものですと1円玉やアルミ缶、鍋や弁当箱、自動車の部品などが挙げられます。
アルマイト加工を施したものは絶縁性が付与されるため、半導体部品などにも使用されます。
また他の金属と比べて非常に軽量であることから、近年では代替材料としても注目されています。
そのため、電車や航空機などの内装部品として軽量化や省エネの観点からのアルミ板の需要も高いです。
また、当社の製作事例をご紹介しますと、車いすバスケットボール用車いすのキャスター部品にも表面仕上げを行っております。
こちらは黒アルマイト処理を行いました。
黒アルマイト処理は、光学分野からのご依頼も多いです。
過去にはカメラのレンズに近い部分に、乱反射を防ぐための黒アルマイト処理(ツヤ消し)を行いました。
この他にも、繰り返し使う部品には摺動性に優れる硬質クロムめっきや硬質アルマイトを行った事例もございます。
このようにエースでは豊富な実績と経験を積んでおりますので、アルミ板への表面処理についてお悩みがありましたらお気軽にご相談ください。
アルミ板のめっき・研削などワンストップでご依頼可能です!
アルミ板のめっきや研削などの表面仕上げは、最後の仕上げや他の加工の前後の処理として行われることが多いです。
エースは1次加工だけでなく2次加工、3次加工と、それ以降に必要となる工程をワンストップでお受けします。
そのため、アルミ板の調達から加工、組み立てまで、工程ごとに業者を探す手間を省くことができます。
品質管理も徹底しており、各工程ごとに検査を実施しますのでご安心下さい。
当社は長年専用機械部品の製作に携わっているため、機械部品や治具製作、ユニット製作などの実績が豊富です。
アルミ板の表面仕上げとその前後に必要となる加工のご依頼をお考えの方は、まずはお問い合わせください。
アルミ板の表面仕上げ・表面処理のお問い合わせ先はこちら
アルミ板の表面仕上げは、今回ご紹介した加工方法からさらに細かく分類されるものもあります。
当社の加工領域に関しましては、下記ページでもご紹介しておりますのであわせてご覧ください。
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