2022年9月21日
C2700の材質について解説します
C2700の材質について東京都大田区の金属加工会社、エースが解説します。
C2700は銅合金・真鍮の一種です。
銅合金には多くの種類がありますが、その中でもC2700はメジャーといえる存在です。
今回の記事では、真鍮・C2700をテーマに、材質や物性などをご紹介します。
お客様からもよくご質問頂く、C2720とC2700Tとの違いについても解説いたします。
設計時や加工時など、モノ作りをするときの再確認としてご参考ください。
C2700の特徴(材質)とは
C2700の特徴(材質)について、最初にご紹介しましょう。
銅は鉄にはない特有の性質を活かし、幅広い分野で活用されている金属材料です。
銅合金にはたくさんの種類があり、今回ご紹介するC2700はその中のひとつです。
C2700とは、JIS規格として英語で銅を意味する「Copper」のCから始まる4ケタの数字で表されており、2000番台は黄銅や丹銅のようなCu-Zn系の銅合金を示しています。
中でもC2700は機械部品や電気部品、仏具、楽器などにも使用され、メジャーな銅合金です。
ここでは、C2700の特徴(材質)や成分、物性について具体的にご紹介します。
C2700は真鍮の一種(黄銅65:35)
銅合金には真鍮や青銅などいくつかの種類がありますが、C2700は真鍮(黄銅)の1種です。
真鍮とは銅と亜鉛の合金の事を指しています。
真鍮は英名でブラス(brass)と言い、金管楽器を用いるブラスバンドの由来にもなっています。
真鍮にはいくつかの種類があり、丹銅や黄銅、コーペルなど、銅と亜鉛の割合によって分類されています。
C2700は黄銅に分類され、銅と亜鉛の含有量から黄銅65:35と言い、様々な用途で使われていることから一般的に私たちがよく目にする素材です。
用途としては、電気製品の部材、通信機、スナップボタン等に使われています。
特徴・成分
次に、C2700の特徴(材質)や成分に関してご紹介していきます。
C2700は銅が63~67%と亜鉛を主成分として構成されています。
真鍮の中でも亜鉛の割合が比較的高いため、硬度が高いタイプといえるでしょう。
C2700の特徴に関しては以下にまとめました。
・加工しやすい
展延性が高いことから、熱することなく変形が可能な材質です。
また、加熱することにより非常に柔らかくなるため、複雑な形状に加工することもできます。
・電気伝導性、熱伝導度が高い
銅全般に共通していることですが、C2700は、電気伝導性が高い材質です。
また、熱伝導度が高く、これらの特性を活かしコンセントなどの接続器の素材や熱交換器の一部として使用されています。
・酸化しやすい
C2700は耐食性に優れた材質ですが、一方で酸化による変色が起こりやすい材質という一面もあります。
水分に触れたり、空気中で表面が徐々に酸化することで、酸化銅の皮膜(黒ずみ)ができてしまいます。
この酸化による変色を防ぐために、一般的には表面処理(めっき加工)が行われます。
物性について
物性は以下の通りです。
C2700 物理的性質
縦弾性係数(ヤング率) [kN/mm2] |
103 |
横弾性係数(剛性率) [kN/mm2] |
38 |
ポアソン比 | 0.35 |
導電率[%IACS] | 27 |
体積抵抗率[10-3μΩ・m] | 63.9 |
熱伝導率[W/(m・K)] | 117 |
比重(20℃) | 8.47 |
液相融点(℃) | 930 |
固相融点(℃) | 905 |
比熱 | 377 |
物性データから、導電率や熱伝導率が非常に高い純銅(純度99.90%以上)と比べると劣りますが、合金の中では導電率や熱伝導率の高さ、十分な硬度を持っているということがわかります。
C2720やC2700Tとの材質の違いは?
C2720とC2700Tとの違いについて、ご質問を頂く時があります。
ここでは、C2700とC2720、C2700Tの違いについてもご紹介しましょう。
初めに、C2700とC2720について、ご紹介します。
この二つの違いは、化学成分と流通している形状(JIS製品)になります。
化学成分と形状について、下記の表をご覧ください。
種類 | 化学成分 | 形状 | |||||||
Cu | Pb | Fe | Zn | 板 | 条 | 棒 | 線 | 管 | |
C2700 | 63.0~67.0 | ≦0.05 | ≦0.05 | 残部 | ○ | ○ | ○ | ||
C2720 | 62.0~64.0 | ≦0.07 | ≦0.07 | 残部 | ○ | ○ | ○ |
この通り化学成分が異なるため材質にも若干の違いがあるといえます。
また、JIS規格として採用されている形状が異なる為、C2700とC2720では用途も変わってきます。
次に、C2700Tとの違いについてご紹介しましょう。
材質に違いはありませんが、4ケタの数字の後の記号には材料の形状が示されており、Tとは管を示します。
そのため、C2700Tとは黄銅管のことであり、熱交換機や衛生菅、アンテナロッド、諸機器部品として利用されています。
黄銅を取り扱う際の注意点
黄銅を取り扱う際の注意点の注意点についてご紹介します。
C2700の特徴(材質)としても説明しましたが、黄銅には酸化しやすく水に弱いというデメリットがあります。
これにより、変色や錆びが生じてしまい、見た目が変わってしまいます。
また、硝酸や塩酸、硫酸などの酸性の水溶液中では腐食が進行してしまいます。
そのため、見た目が重要となる製品で銅を使用する場合は、めっきによる表面処理を行うのが望ましいでしょう。
そして基本的に加工しやすい材質といわれている黄銅ですが、高い展延性のためバリが発生しやすくなっています。
これらの事から、黄銅の加工には注意が必要となっており、加工を依頼する際は銅の扱いに慣れ、高い技術を持った業者に依頼をすると良いでしょう。
C2700の加工は当社にご相談ください
今回のコラムでは、C2700の材質について解説しました。
当社、エースは東京都大田区で1974年より治具や機械部品を製作している金属加工会社です。
自社工場のほかに、全国に約300社の工場と協力関係にあるため、あらゆる材質、加工に対応しております。
今回ご紹介したC2700をはじめとした真鍮の加工につきましても、ご相談を承ります。
(※大きなサイズ、複雑な形状のものにつきましては別途ご相談ください。)
材質に関する知識はモノ作りに必要不可欠です。
用途や加工に最適な材質選定をすることは製品の品質・機能向上に繋がります。
当社では図面を拝見し、用途や加工工程に合った材質や加工方法のご提案(VA提案)も可能です。
モノ作りで何かお困りのことがございましたらお気軽に当社までお問い合わせください。
VA提案につきましては以下のコラムでもご紹介しています。
是非合わせてご覧ください。
VA提案で製造業のお悩みを解決!事例やVA提案とVE提案の違いをご紹介
当社の営業担当がお客様のご要望や用途をお伺いし、最適な材質、方法をご提案いたします。
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