2023年2月17日
SS400のめっきを解説!各種メッキの違いも紹介します
SS400のめっきは、素材を錆びさせないために必要な加工です。
めっきは、素材を金属の皮膜で覆う事を指します。
表面処理の選択肢はいくつかあり、用途や目的に合わせて加工方法を選択します。
めっきの種類によって特性が変わってきますので、目的に適したタイプを選ぶようにしましょう。
今回は、SS400の表面処理をテーマに、SS400の特徴とSS400で一般的によく使われているめっきの種類について、東京都大田区の金属加工会社、エースが解説します。
SS400の特徴について
SS400は鋼材材料で最も使用されている材料で、代表的な金属のひとつといえます。
SSのあとにつく3桁の数字はSS400の最低引張強さを表しています。
(※引張強さは400~510N/mm2までの数値の範囲内で決まっています。)
SS400の他にもSS330、SS490、SS540がありますが鉄の成分はほとんど同じです。
鋼材材料でよく使用されるSS400の特徴(メリット)は下記の4つです。
【メリット】
・他の鋼材材料よりも安い
・溶接や加工がしやすい
・流通量も多く入手しやすい
・汎用性が高い
SS400は入手しやすく使い勝手がいい材料ですが、デメリットもあります。
SS400のデメリットは下記の3つです。
【デメリット】
・炭素量がすくないため焼き入れができない
・錆びやすいので表面処理が必要になる
・材料がやわらかいので硬さが必要な用途には不向き
SS400はデメリットもありますが安価で入手性も良く、加工もしやすいので一般的によく使われています。
SS400に耐食性を付与させるめっきの種類や特徴について
SS400に耐食性を付与させるためにはめっき等の表面処理を行う必要があります。
SS400は一般的によく使用されていますが、錆びやすい特徴があるため、要望、用途によっては表面処理を行います。
めっきは目的によって金属を選ぶため、メリットや付与できる機能は様々ですが、SS400の場合、一般的に以下の3つのメリットが挙げられます。
防錆(耐食性) | 耐食性のある金属をめっきすることによって、防錆(耐食性)が付与されます。 |
装飾性 | クロムなど、美観と機能性(耐食性・耐摩耗性など)の両方を付与できる金属もあります。 |
耐摩耗性 | 耐摩耗性を付与し、製品を長期的に使用する事が可能となります。 ※使用環境によります。 |
めっきには多くの種類がありますが、用途にあう適切な種類を選ぶことが重要です。
ここでは、SS400で一般的によく行われているめっきの種類を6つご紹介します。
1、溶融亜鉛めっき(ドブめっき、どぶ付け)
溶融亜鉛めっきとは、その名の通り高温によって溶かした亜鉛に加工物を浸して、金属皮膜を生成する方法です。
「どぶめっき」や「どぶ付け」とも呼ばれ、錆びからSS400材を守ります。
錆びや腐食に強く、経年劣化しにくい(めっきがはがれにくい)メリットがあり、建築物、昔の標識やガードレール等幅広い用途で使われています。
亜鉛めっきの破損などで、SS400の素地が現れてしまっても、周囲の亜鉛による電気化学作用によって腐食を防ぎます。
鋼材を守り、長期的に錆を防ぐのでコストパフォーマンスの良い加工法といえるでしょう。
2、クロムめっき(電気めっき)
クロムめっきは装飾性のほか、耐摩耗性、耐食性、硬度に優れためっきです。
クロムめっきには種類があり、硬質クロムとニッケルクロムに分類されます。
硬質クロムは通常よりも膜厚があり、クロムめっきの中でも耐摩耗性、耐食性、硬度に優れています。
錆びに強いため、工作機械の部品等にも一般的によく使われている加工です。
次に紹介するニッケルクロムと異なり、硬質クロムめっきは素材に直接クロム金属をめっきします。
SS400にもよく使用され、摩擦ですり減った部分に厚く成膜することで、修復できる特徴もあります。
一方、ニッケルクロムめっきは装飾クロムとも呼ばれており、装飾性、耐食性を目的に行われています。
ニッケルクロムめっきは下地にニッケルめっきを施し、その上にクロムめっきを施したものです。
製品に美観も与えられるので、自動車の車内外装品にも使われています。
3、亜鉛めっき(電気めっき)
電気めっきによる亜鉛めっきも一般的によく使われている種類で、光沢があり、青白い金属が特徴です。
高い耐食性がありますが、素材の種類によって左右されるので注意が必要です。
主に自動車の部品やコンピューターなどの精密機器の部品に亜鉛めっきが使われています。
SS400にもよく使われている加工ですが、電気亜鉛めっきの場合、処理後そのままにしておくと白錆による腐食が発生します。
この白錆を防ぐため、クロメート処理を行い耐食性を上げます。
※クロメート処理を行う場合、膜厚が変わるため精度保証ができない場合があります。詳しくは当社窓口までお問い合わせください。
4、黒染め
黒染めはSS400などの鋼材の表面に化学的な処理を行い、黒い錆をつけ耐食性を上げる表面処理です。
黒染めはその名前のとおり、製品の見た目は真っ黒に仕上がります。
黒染めは簡単に説明すると、化成処理によって加工物の表面に酸化皮膜を作り、それ以上錆びさせないという処理です。
黒染めをする理由は化学反応で表面処理をするので、他のめっきと違い剥がれることはなく、表面処理の膜がとても薄く寸法の変化がほとんどありません。
黒染めは、製品が光沢のある黒色に仕上がり、皮膜も薄い為寸法精度が要求されている場合にもピッタリです。
耐熱性も良好で、低コストでできるのもメリットといえるでしょう。
一方で、黒色以外の色はない事、耐食性はあるが防錆油をかけないと腐食が早まるなどの注意点もあります。
5、ニッケルめっき(電気・無電解めっき)
ニッケルめっきはニッケルの皮膜をつけるめっきで、加工方法に電気めっきと無電解めっきがあります。
【電気めっき】
電気を使用してニッケル皮膜を生成する方法です。
安価で、成膜スピードが早く、電気を通す素材であれば様々な金属に対応できます。
【無電解めっき】
電気を使わずに薬品を使用し、化学反応を起こしてニッケル皮膜を作り、均一な膜厚でめっき処理する事ができます。機械精度を求める場合に最適です。
電気を使わないため、SS400などの金属だけではなく樹脂にも加工でき、パイプなどの複雑な形状でも均一に付けられる特徴があります。
必要な薬品数が多いことからコストが高くなり、めっき液に寿命があるため厳しい液の管理が必要になります。
どちらの方法でニッケルめっきを行うのか、用途によって選定しましょう。
6、スズめっき
スズめっきはスズ(錫)といわれる金属をめっき液に溶かした後、製品を浸して錫皮膜をつける加工方法です。
スズはやわらかい金属で融点が低く、変色しにくいという特徴がある高価な金属で、メリットとして以下の2つが挙げられます。
・はんだ付け性が高い
・耐食性が高く変色しにくい
スズめっきで注意したいのはウィスカと呼ばれるヒゲ状の金属結晶のことです。
発生するメカニズムはまだ解明されていませんが、ウィスカは成長するため、ウィスカの対策をしておかないと機器の故障や異常、そして重大な事故に繋がる可能性があります。
対策として一般的なのは下地めっきをしておくことです。
下地をしておくことでウィスカの成長を抑制してくれます。
スズめっきはウィスカの対策を忘れず目的に適した材料に使用しましょう。
近年、スズめっきに対応できる委託加工業者は減少傾向にあるため、相談ができる加工会社が限られています。
弊社はスズめっきのご相談も承りますので、お困りのことがありましたら、お気軽にご相談ください。
溶融亜鉛めっきを注文する際の注意点
溶融亜鉛めっきの注文時の注意点についてご紹介します。
SS400へのめっきは、これまでご紹介した通り、用途や目的によって様々な種類があります。
その中でもよくお問い合わせを頂く溶融亜鉛めっきについて、注意いただきたいポイントがあります。
それは製品の形状です。
溶融亜鉛めっきに出す製品の形状は必ずぬけ穴をあけないといけません。
ぬけ穴をあけ空気の逃げ道をつくらないと下記の現象がおきます。
・空気がたまってしまうと浮力が働いてめっき液にひたすのが難しくなる
・空気がたまった製品を無理やりひたすと空気が膨張して水蒸気爆発をおこす
溶融亜鉛めっきを注文するときは、製品の形状が適しているかどうかをしっかりご確認ください。
当社では、ご依頼時に製品や図面を拝見し、適しているかどうかのご相談も承りますので、ご心配でしたらお気軽にご相談ください。
エースは用途やご要望に応じためっき加工をご提案いたします
当社、エースは東京都大田区の金属加工会社です。
今回はSS400へのめっきをテーマに、溶融亜鉛めっきをはじめとした様々なめっきについてご紹介しました。
当社では表面処理のご依頼はもちろんのこと、最適な加工方法の選定のご相談も承る事ができます。
※溶融亜鉛めっきの後処理(表面処理)には対応しておりません。
特に機械精度が必要なめっきをご要望の場合は、無電解ニッケルめっきと硬質クロムめっきをおすすめいたします。
弊社では加工から各種めっきまで承りますのでご相談ください。
丁寧に用途やご希望をお伺いし、最適な表面処理をご提案いたします。
また、めっき加工の前後に研磨加工やミガキ加工を施し、装飾性、耐摩耗性、寸法精度をより向上させた高品質な製品の加工も可能です。
その他金属加工の事でしたら、何でもご相談頂けますので、モノ作りで何かお困りのことがございましたらお気軽に当社窓口までお問い合わせください。
【お問い合わせ先】
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