2022年12月16日
純チタンと64チタンの違いとは?素材の特徴をわかりやすく解説します
純チタンと64チタンの違いをご存知でしょうか?
チタンの歴史は、18世紀イギリスの海岸から始まります。
イギリスの寺僧であり、鉱物学者のウィリアム・グレゴーにより発見され、発見した海岸「メナカン海岸」にちなみ、メナカイトと名付けられました。
発見された当時、純チタンの抽出が難しく、まだ私たちの知る金属チタンの姿ではありませんでした。
ですが科学者たちの長年の努力により、1910年に純チタンの抽出に成功、1946年に工業的に使われるようになりました。
銅や鋼と比べるとまだ歴史の浅い金属と言えます。
現在、チタンは航空宇宙開発から電気設備、自動車など幅広い分野で使われており、広い分野で用途の可能性を秘めている素材と言われています。
今回はこのチタンをテーマに純チタンと64チタンの違いについて、東京都大田区の金属加工会社、エースが解説します。
モノづくりにおいて、素材の知識は重要です。
このふたつの素材の違いへの理解を深め、是非設計時、加工時の再確認としてご覧ください。
純チタンと64チタンの違いとは?
純チタンと64チタンの違いについて解説します。
ふたつとも同じチタンですが、どのような違いがあるのでしょうか。
チタンは一般的に強いのに軽く、錆びにくいという特徴から、航空機や自動車、原子力発電所やロケット、建築材、医療など幅広い用途で使用されています。
新たな用途で使われる可能性も秘めており、今後様々な分野、用途で使われる期待値の高い素材のひとつでもあります。
さて、チタンと一口に言っても、チタンは含まれる化学成分の違いによって区分されており、違いがあります。
大きく二分化されており、純度の高いチタンを「純チタン」、チタンを主成分する合金を「チタン合金」といいます。
チタン合金の中でも、64チタンは最も需要が高く、代表的なチタン合金です。
この64チタンと純チタンの違いはどのような点なのでしょうか。
ここでは純チタンと64チタンの違い、その特徴や性質、メリットを説明します。
純チタン
純チタンとはその名の通り、純度の高いチタンのことです。
純チタンには添加されている他の成分の含有量によって分類されています。
チタン1種(TP270)、チタン2種(TP340)、チタン3種(TP480)、チタン4種(TP550)の計4種類があり、含有している酸素と鉄などの成分の量によりチタンとしての強度が大きく変化します。
種類による違いは、強度です。
純度が低くなるにつれ(酸素と鉄の量が増えるにつれ)、強度が高くなっていき、純チタンの中では純チタン4種が最高強度純チタン材となっています。
純チタンの機械的性質に関しては、以下の表でまとめましたのでご参考ください。
種類 | 引張強度(MPa) | 耐力(MPa) | 伸び(%) |
1種 | 270~410 | 165以上 | 27以上 |
2種 | 340~510 | 215以上 | 23以上 |
3種 | 480~620 | 345以上 | 18以上 |
4種 | 550~750 | 485以上 | 15以上 |
64チタン(チタン合金)
64チタンは正しくは「JIS60種」や「TAB6400」と呼びます。
質量分率でチタン合金中にアルミが6%、バナジウムが4%含まれることが64チタンと呼ばれる由来です。
64チタンはチタン合金の中でも、代表格ともいえるチタン合金です。
また、純チタンとの違いとして、64チタンは純チタンに比べ引張強度が1.7倍以上や耐力が3.8倍以上高く、非常に強度が高く高温化でも安定した強度を保ちます。
64チタンと純チタンのその他の違いとして、加工性が挙げられ、純チタンに比べて加工が難しく、価格も高いという点が挙げられます。
チタンの加工につきましてはエースへお問い合わせください。
チタンが選ばれる理由やメリットについて
チタンが選ばれる理由やメリットについてご紹介しましょう。
これまで素材の違いや、用途について解説しました。
様々な用途で使われているチタンですが、それはチタンが持つ多くのメリットからきています。
使い勝手が良いチタンの特徴を以下で紹介していきます。
・高耐食性
鋼材の中では際立って高耐食性に優れています。
腐食しにくい性質を持ち、酸にも強く崩れにくい特徴があります。
海水中においても非常に高い耐食性を持ち、白金にも匹敵します。
・導電性
多くの金属と違い、熱伝導性が低く熱や電気を通しにくいという性質を持ちます。
そのためエンジン部品など熱の影響を受けやすい箇所に使用する素材として使われることが多いです。
・強度
耐衝撃強度が高く、鉄やアルミより2倍以上の強度を誇ります。
高い強度を持つ一方でしなりやすいため、加工性が非常に高いです。
また、チタンの中でも純チタンと64チタンでは強度や重さに違いがあり、用途や目的に応じて使い分けされます。
強度による違いとして、加工が難しく価格が高い64チタンに対して、純チタンは強度が下がるものの、加工しやすく安価です。
・軽い
チタンは多くの金属とは違い比較的軽く、純チタンの比重は4.51、チタン合金の比重は4.8となっております。
これは銅の半分程度の重さであり、製品の軽量化に貢献する金属といえるでしょう。
・金属アレルギーを起こしにくい
チタンは空気に触れると酸化しやすく、表面に酸化被膜を作ります。
この被膜は汗やリンパ液に触れても溶けだすことがなく、金属と肌との接触を防ぎます。
そのため金属アレルギーを起こしにくく、肌に身に付けるもの(眼鏡や腕時計など)によく使用されています。
この特性も多くの金属との大きな違いです。
【チタンの用途】航空機や宇宙産業をはじめ、幅広い分野で使われている
チタンの用途について、どんな用途で、どのような分野で使われているのでしょうか。
これまでお伝えした通り、チタン(純チタン・合金チタン)は多くのメリットから様々な用途で使われています。
用途としては、時計や眼鏡などの身に付ける日用品から、自動車のエンジン部品、また軽さと強度を活かした航空機や宇宙産業におけるジェットエンジン部品やロケット部品、耐食性に優れているため、原子力関係、建築物など、実に多くの分野で使われています。
アレルギーを起こしにくいので、食料品や医療品、化粧品などにも使われているので、私たちにとって身近な素材と言えるでしょう。
特に、技術の発展とともに使いやすさの向上、コストダウンなどの観点から様々な分野で需要が現在も増加し、用途の可能性も広がっています。
今後の活躍に期待したい素材のひとつと言えるでしょう。
チタンの加工で注意すべきこと
チタンの加工を行う場合の注意点についてご紹介します。
チタンは非常に優秀な金属ではありますが、一方で加工時に注意したい点がいくつかあります。
・工具が摩耗しやすい
・加工が難しい
・発火の危険性
強度が高いため刃先に大きな力がかかる為、工具が摩耗しやすく熱をためこみやすいため劣化が早くなります。
また、加工の技術も求められる素材といえます。
一般的にチタンは難削材と言われていますが、切削性は悪くなく、ステンレスと同レベルといえます。
ですが高強度なので工具が摩耗しやすいという点が、難削材に分類されている理由のひとつです。
そのほか、展延性に劣るため、そのまま曲げ加工をしてしまうと破断する可能性があります。
チタンの加工時には確かな知識と技術力が求められる為、チタンを使った製作をするときには、チタンの加工に対応ができる業者に依頼することをおすすめします。
また、チタンを取り扱う際の注意点として、チタンは発火しやすく、火災の可能性があることがあげられます。
これはチタンの新しい表面が現れることにより、表面が酸化して発熱することが原因です。
切粉をそのまま放置してしまうと、火災など事故の原因になりますので、加工するときはチタンの切粉は全て回収して、周囲に可燃物がないところで保管をするようにしましょう。
また、発火の際は、水で消火しようとすると水素爆発の危険がある為、絶対に水をかけてはいけません。
万が一の際には金属火災用の粉末消火剤を用いて消火しましょう。
当社、エースでは難加工材であるチタンの加工のご相談を承っております。
万が一当社の設備で対応できない場合でも、当社には日本全国に300社を超える工場とパートナー関係にあり、様々な難加工にも対応できる可能性があります。
他社で断られてしまった案件も、是非一度ご相談ください。
チタンの加工もご相談頂けます!モノづくりの事ならエースへご相談ください!
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今回は多くの可能性を秘めている金属「チタン」について、一般的によく使われる「純チタン」と「64チタン」の違いを解説しましたが、いかがでしたでしょうか。
この純チタンと64チタンの違いは、純度が高いチタンか、合金のチタンかという点です。
更に特性の違いとして、64チタンの場合は強度が高いという点も違いとして挙げられます。
同じチタンではありますが、このふたつの金属には特徴に違いがあることがお判りいただけたかと思います。
モノ作りでチタンを扱う際は、この違いについてしっかりと知識を深め、用途に最適な素材を選定することをおすすめします。
当社、エースではモノづくりに熟知した営業スタッフがお客様のご要望や用途を詳しくヒアリングし、適切な材質を選定、ご提案いたします。
チタンをはじめとした難加工材を使ったモノづくりのご相談も承りますので、課題がありましたらお気軽にご相談ください。
(※チタンは高級材のため、大きなサイズ、複雑な形状のものにつきましては別途ご相談ください。)
当社では材質選定から組立まで一貫生産にて承る事も可能です。
生産工程で課題がございましたら、こちらにつきましてもお問い合わせください。
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