2021年10月4日
近年、製造業のお客様からVE提案に関するご相談が増加傾向にあります。
お話しをお伺いするとVEの成果をより高めるために、加工会社からのVE提案をお求めになるようです。
様々な業界で需要が高まっているVE提案ですが、そもそもVE提案とは一体何なのでしょうか。
VE提案が製造業の方やメーカーの方々にとって、どのようなメリット・デメリットがあるのか気になる方もおいかと思います。
今回は金属加工を専門としております当社がVE提案のメリットや注意点、そして実際に製造業のお客様のVEの取り組みに貢献した当社の事例についてご紹介します。
VE提案(製造業)の意味や価値とは?効率化やコスト削減の情報をご紹介
VE提案は製造業では一般的に耳にする言葉ではありますが、そもそもVE提案とはどのようなものなのでしょうか?
最初に、製造業におけるVE提案の意味や価値について、ご紹介しましょう。
VEの意味とは?【用語の解説】
そもそも、VE提案とは一体何でしょうか?用語について簡単にご紹介しましょう。
VE提案の「VE」とはValue Engineering(バリューエンジニアリング)の頭文字をとった言葉で、日本語では「価値工学」という意味になります。
製造業におけるVEを行う目的は、可能な限り低いコストで製品に必要な機能・品質を実現するというもので、製品の設計段階から行われます。
具体的には図面や仕様書の変更、業者の発注先、仕入れ方法の検討などが行われます。
これに対し、VE提案とは製品の設計、つまり初期の段階で加工会社などの第三者がプロジェクトに入り、設計や部品調達の方法などに対し品質改善やコストダウンの提案を行うものです。
製品や装置などの完成に向けて、製造業のお客様と一緒になってモノづくりに取り組むというイメージです。
VA提案との違い
VA提案も良く製造業で耳にする言葉ですが、VE提案とどのような違いがあるのでしょうか。
これは既にある図面に対して、品質向上やコストダウンの方法などを提案するもので、一方で今回ご紹介しているVE提案(製造業)は、企画立ち上げ時や設計段階など、初期の段階で行われます。
つまりこの二つには、提案する対象が異なるという違いがあるのです。
製造業におけるVE提案の3つのメリット、デメリットを解説します
製造業におけるVE提案のメリットとは一体どのようなものがあるのでしょうか。
製造業のVEに加工会社などが入ることによる3つのメリット、そして注意点(デメリット)についてご紹介しましょう。
1、客観的な視点を入れることで改善策が見つかりやすい
VE提案(製造業)の大きなメリットとして、客観的な視点を取り入れることによる新しい改善策や方法が見いだせるという事が挙げられます。
製品の設計を自社のみで行った場合、目的を達成するための方法がどうしても主観のみとなってしまいます。
ですが第三者が関わることで新しい視点が生まれ、今まで無かった様々な方法(選択肢)が得られるのです。
もしかしたら、製造業の皆様が今まで思ってもいなかった品質改善や効率化のアイディアが得られ、高い成果があげられるかもしれません。
VE提案から今までなかったアイディアや改善策が得られるのは、加工会社がプロジェクトに関わる大きなメリットといえるのではないでしょうか。
2、結果的に時間の短縮、コストダウンにつながる
プロジェクトに加工会社が関わることで、結果的に時間の短縮やコストの削減につながる可能性もあります。
改善方法が見つかりやすいので、設計者をはじめとしたプロジェクトに関わる方にとって、スムーズな進行を図ることができます。
また当社の場合ではありますが、設計図を読み取り現状より安価に仕上げられる方法がある場合も提案をしておりますので、コストダウンにつながる可能性にも期待できます。
部品の製造も大田区という場所を活かし、スピーディーに仕上げますのでスピード感のあるプロジェクトの進行が可能です。
3、技術者がいなくても相談ができる
製品の設計図を書き起こすときに、技術者が不在だと実際に図面の加工が可能かどうかの判断が難しい場合もあります。
加工について熟知している技術者がプロジェクトに関わっていると良いのですが、全部のシーンでそういう状況があるわけではありません。
こうした場合でも、エースのような加工を専門とする会社が入ることで、加工に関するご相談を気軽にすることができます。
当社は加工技術ばかりではなく、実際にお客様の現場(生産ライン)に関する経験が豊富ですので、お客様の問題解決に当社の知識や経験がお役に立つことができるかもしれません。
このように、加工会社がパートナーとしてVEに関わる事は、技術者が不在のプロジェクトでも安心して相談できるというメリットがあるのです。
VE提案の注意点とは
これまでVE提案のメリットばかりをご紹介してきましたが、製造業で取り入れる際に何か注意したいポイントはあるのでしょうか?
加工会社からの提案はあくまで一意見にとどまり、実際に採用するかどうかのご判断は製造業のお客様となりますので、さほど大きなデメリットは無いかと思われます。
ですが、以下のような注意点がありますのでご紹介しましょう。
・プロジェクトが確実にうまくいくかどうかはわからない。
・全てをお話しいただかないと、失敗のリスクも。
VE提案はまだ無い製品に対して行われるものなので、お互いに知っている限りの情報を出し合って、少しでも完成形にもっていくことが理想です。
プロジェクトに関して全ての情報がオープンにならない場合、加工会社が“知らない事”が生まれてしまい、「実際に作ってみた結果失敗してしまう」という点が注意点として挙げられます。
全ての情報を加工会社にオープンにするのはなかなか難しいかもしれません。
ですが、オープンにしないことで失敗の可能性が生まれるのも事実であり、注意したいポイントなのです。
一緒にプロジェクトに取り組むパートナー会社を選定するときは、信頼できる会社であることはもちろんですが、安心して情報を共有できるよう守秘義務契約を取り交わすなどを行うことを製造業の皆様におすすめします。
当社でも守秘義務契約の締結は可能ですので、情報の取扱いにご心配がありましたらご相談ください。
情報の公開範囲を含め最終的なご判断はお客様となりますが、できる限り協力して素晴らしいものを作りあげることに尽力いたします。
当社のVE提案(製造業)の強みについて
当社でもVE提案を製造業のお客様にいたしております。
エースはリアルな現場を知る加工会社として、様々なお客様からご依頼をいただき、VE提案をしてきました。
金属加工の一貫生産に関するご提案も可能です。
そのため、これまでたくさんの製造業のお客様から「頼れる加工会社」としてご評価いただいております。
そんな当社のVE提案の強みや特徴についてご紹介します。
豊かな経験があるからこそ、どうしたら良いかを知っている
最初にご紹介する強みは、「豊かな経験」です。
創業以来、当社は様々な案件を通して、工程・技術・材料のみならず、業界に関する知識や経験を積み重ねてまいりました。
加工業界としては珍しく、製造業のお客様の生産ラインについても直接見て理解しているため、部品や装置の前後、重要性についても熟知しております。
実績の多さや実際のラインを知っているというのは大きな強みで、図面を拝見した段階で改善点をVE提案としてお伝えできる場合も多々あります。
このように豊かな経験がるからこそ、ケースバイケースに対応する事ができ、お客様からご相談を頂いた時、または図面を見せていただいた時に「どうしたら良いのか」というVE提案ができるのです。
これからのモノづくりで何かお悩みのことがありましたら、是非当社にご相談ください。
大田区の地の利を活かしたスピード感のある対応
当社はモノづくりの町として知られる大田区(東京都)にあり、この大田区の地の利を活かした対応も強みとしております。
エースは全国に300以上の協力会社があり、大田区内にあるたくさんの工場とのネットワークもあります。
工場には得意分野があり、得意分野から外れてしまうと納期や品質に影響が出てしまう場合がありますが、当社はそれぞれの工場の得意な分野を知っているので、高品質・短時間での製造を実現しております。
更に製造業のお客様とはもちろんのこと、工場とも直接やり取りをしているため、柔軟でスピーディーな対応をいたしております。
VE提案におきましてもこの強みが最大限に活かされており、試作品の製造などを短時間で仕上げ、製造業のお客様に提供しております。
加工が早いとトライ&エラーやブラッシュアップをスピーディーに行えるため、モノづくりをテンポよく進めていく事ができ、この点がお客様から大変ご好評いただいております。
また、得意分野の加工ができる工場を選定しているので、図面を更に良くする加工方法やアイディアが工場から生まれることもあります。
当社を通すことで、色んな工場からのアイディアや改善方法が生まれるのも、エースならではの強みといえます。
こうしたメリットが得られるのは大田区という場所であること、そしてエースが持つ工場とのネットワークや強い信頼関係があるからといえるでしょう。
これまでのVE提案(製造業)の事例をご紹介
これまで当社のVE提案(製造業)の強みについてご紹介してきました。
「では、実際にどんな事をしてきたのか?」という点が気になるかと思います。
そこで、エースがこれまで製造業のお客様に対し行ってきましたVE提案の事例を一部ご紹介しましょう。
事例1、ゴム製品の剥離性の改善
装置の設計に対するVE提案によって、生産効率が上がりました。
ゴム製品を製造装置の治具から外すときに、ゴム製品が治具からはがれやすくなる方法をVE提案をいたしました。
ゴム製品を治具から外すとき、よりはがれやすくなるアイディアとして、治具に表面処理を施すご提案。
この案をご採用頂き、生産効率の向上につなげることができました。
事例2、製品の洗浄機械を改善し、生産効率が40%UP
製品の洗浄ラインに関する課題解決のため、装置を作成。
結果、生産効率の向上を実現しました。
加工後の製品に付着した油分や埃など洗浄し除去する装置の設計に、エースが関与させていただきました。
この案件のお客様は元々検査治具や部品などでお取引があり、お困りの時には度々ご相談を頂いておりました。
ご相談内容は部品に関する事が多かったのですが、次第に生産効率の向上に関するご相談もいただくようになり、本件はそのご相談の一部となります。
当時、お客様の生産ラインでは、加工後の製品を洗浄する装置を導入されていました。
この装置は熱湯スチームで部品を洗浄するというものでしたが、洗浄後の製品が乾くのに大変な時間がかかってしまうという問題を抱えていました。
当時は生産効率の向上のため、装置に乾燥の機能を追加できないかというご相談でしたがその実現は困難でした。
機能追加が難しい為、「新しく導入してみては」とお客様と一緒に展示会に足を運んでみたりしましたが、残念ながら洗浄と乾燥が一体になった装置はありません。
外にはこうした装置がないため、「ほかで装置がないなら自分たちで作りたい」と改めて洗浄・乾燥が一体となった装置の開発のご相談を頂き、お客様と一緒に作り上げることとなりました。
装置を作り上げていく中で、様々なVE提案をさせていただき、ご要望通りの「一度に洗浄、乾燥ができる機能」が完成。
それだけではなく、乾燥した時に洗浄の跡を残さずに製品を乾かすことができる高機能・高品質な装置が作る事ができました。
この装置は無事にラインにて稼働し、これまでに乾燥にかかっていた時間が大きく短縮、生産効率が40%向上し、お客様に大変喜んで頂けました。
事例3、生産ラインの見直しで省人化を実現
省人化は多くの製造業の方にとって大きな課題なのではないでしょうか。
固定費の削減と人不足の問題を解決できる可能性があるため、生産ラインの見直し時に省人化が進んでいます。
こうした省人化に関して、少しでも効率よく安価なラインの設計時に、当社にアドバイスをお求めになるケースが増えてきました。
一例ではありますが、自動車部品の組み立てラインの省人化のご依頼に対し、治具を作成する事で効率化と標準化を図ることが可能となりました。
当社は製造業のお客様と直接のやり取りをさせて頂いておりますので、生産ラインに関する知識や経験が豊富です。
近年製造業の中でますます関心が高まる省人化について、ご相談を承りますのでお気軽にご相談ください。
VE提案(製造業)に関するお問い合わせやご相談について
VE提案、製造業のお客様への様々なご提案などをご紹介してきました。
設計時のアドバイスや、製造に関するご相談は是非当社にお問い合わせください。
ご相談のお問い合わせ窓口についてご紹介します。
VE提案のご相談はお電話やWEBで受け付けております
VE提案に関するご相談やお問い合わせは、お電話、FAX、当社のホームページのお問い合わせフォームより承っております。
電話番号 03-3790-5500
FAX番号 03-3790-5560
お問い合わせフォームはこちら
ご相談をされる際、多くの製造業の方がご心配されるのが機密保持についてです。
ご希望でしたら守秘義務契約も結ぶことが可能ですので、お問い合わせ時にお申し付けください。
お問い合わせからVE提案までの流れ
お問い合わせから実際のVE提案の流れについてご紹介します。
案件にもよりますが、以下のような流れでご提案いたします。
お問い合わせ後、図面や実際の生産ラインなどを見せていただきながらヒアリングをし、用途やご要望をしっかりと伺います。
その後、VE提案・お見積もりをし、その内容で宜しければ製作、テスト、改善点の修正などを行います。
ご要望や状況に応じて、都度VE提案を行い、製品や装置の完成を目指します。
VE提案を行う場合はモノづくりの初期の段階からの取り組みとなので、期間はVAと比べると長くなりますが、上記のような流れでお客様とやり取りをさせていただきます。
※上記の流れは一例で、状況によって上記と異なる場合があります。
ご相談は当社にお任せ!分析し、コストの問題解決や機能の向上をご提案します
製造業の方々にとって需要が高まるVE提案についてご紹介しました。
当社は創業以来たくさんのお客様から設計時からのご相談を承っておりますので、実績や経験、知識があります。
また、大田区ならではのスピーディーな対応や、協力先の工場からのアイディアが得られるのも当社の強みです。
製造業の皆様の、モノづくりの頼もしいパートナーとしてご相談いただけましたら幸いです。
VE提案の他にも当社はVA提案も行っておりますので、既存の生産ラインについてコストダウンや品質の向上などのご相談もお気軽にお問い合わせください。
※ご相談時にはお使いになられている部品などの図面をご用意いただけますと、スムーズに回答ができます。