2023年6月20日
SS400の切削加工で知っておきたい素材の特徴や加工のポイントを解説
SS400の切削は、素材をよく知り、確かな技術で加工する事が大切です。
今回は、汎用的に使われている鉄鋼材「SS400」の切削加工について解説します。
SS400は幅広い製品で使われており、材料の価格も安く鉄なら何でも良いときにはよく選ばれています。
ですが、低価格の材料であるからといって、必ずしも安く部品を製造できるということではありません。
材料の特徴をしっかり理解し、適切な加工方法をすることでSS400を最大限に活かせます。
今回は、知っておきたいSS400の素材の特徴、使用時の注意点、そしてSS400を切削加工するときのポイントについて東京都大田区の金属加工会社エースが紹介いたします。
当社は金属加工会社として、様々な鉄鋼材の加工実績があります。
自社工場での対応はもちろん、全国の工場300社以上と協力関係にあるため、SS400の切削加工をはじめ、あらゆる材料・加工に対応する事が可能です。
SS400の切削加工で課題がありましたら、当社にお気軽にご相談ください!
SS400の特徴、用途について
SS400の特徴や用途について、最初に紹介しましょう。
SS400は一般構造用圧延鋼材であり、SSはSteel Structureの略称です。
SSの後ろに付けられた数字は材料の引張り強度を示し、SS400の場合は引張り強度が400N/mm2以上の構造用鋼を指します。
SS400の特徴は他の金属材料に比べて安く流通量も多いので手に入りやすくなっています。
用途では橋や船などの構造材に使われたり、機械や車両にも使われたりと幅広く使われています。
鋼材を使用して何かを作る時、最初に候補として挙がるのがSS400といっても過言ではありません。
手頃な価格で手に入る「鉄鋼材」
SS400が幅広く使われる理由は、価格が安いという点です。
安く手に入る理由として、鋼材の中でも最も流通量が多いという点が挙げられます。
SS400は鉄で重量があり、重さが必要な時や、重くても問題がない時に低コストで抑え
られるので使用されます。
また鉄なので磁性があり磁石を使いたい時にもSS400が使用されます。
同じ鉄で磁性を持っているニッケルやコバルトなどもありますが高価なため、あまり使われません。
製造コストを抑えるため、汎用性もあり、価格の安いSS400が多く使われています。
切削性も良く、溶接に最適
SS400は低コストが理由で使われることの多い素材ですが、コストだけが選ばれる理由ではありません。
切削性、溶接にも適しているのもよく使われる理由です。
溶接に適している理由はSS400には炭素含有量が少ないため、熱による影響を受けにくい性質があるからです。
ですが、成分が規定されていないので溶接性が保証されているわけではないので注意しましょう。
SS400は切削性においても、炭素含有量が少ない(つまり硬度が低い)ため、鉄の中でも高い加工性を持つ鋼材です。
S45Cなど炭素量が多い鋼材になると、硬度が高くなるため切削性が悪くなりますが、SS400は炭素量が少ないため加工しやすいのです。
SS400を使用するときの注意点
SS400は汎用性もあり非常に使いやすい鋼材ですが、使用するときの注意点もあります。
注意点に気をつけて使えば非常に良い鋼材ですので、正しく使いましょう。
SS400を使用するときの注意点は2つです。
- 焼入れはできない
- 錆びやすい
SS400は炭素量が0.15から0.2前後が含まれています。
ですが、焼入れには0.3以上の炭素量が必要なため、焼入れができません。
このため、焼入れによって硬度を向上させることはできません。
また、SS400は非常に錆びやすく、鉄の中でも柔らかい鋼材になるので、めっきや塗装、黒めっきなどの表面処理も必要になります。
強度が求められる用途の場合は、別の素材を検討する事をおすすめします。
SS400の切削加工のポイントとは
SS400は切削加工しやすく、一般的によく使われている汎用的な鉄鋼材です。
しかし、適切に加工をしないとうまく加工できなくなってしまうので注意しましょう。
ここからはSS400の切削加工をするときのポイントについて紹介していきます。
切削加工するときのポイントは3つです
- 適した工具、切削条件で加工する
- 切削液(クーラント)を使用する
- チップ交換式の工具を使用する
上記のポイントをしっかりおさえて加工することが、SS400の材料を最大限活かしたモノ作りに繋がりますので、是非ご参考ください。
適した工具、切削条件で加工をする
切削加工で一番重要なのは適した工具を使用することです。
間違えた工具選びをしてしまうと、工具寿命が悪くなり工具の消耗が多くなりコストが余計にかかります。
また、材料に適した工具を選んでいないと切削加工ができず工具を壊し、製品を不良品にしてしまう可能性もあります。
さらに、いくら適した工具を選んでいても切削条件(回転数、送り速度、切り込み量など)が悪ければうまく加工できないでしょう。
切削条件が悪いと無理に材料を加工しようとして工具が熱を持ち溶けてしまいます。
切削加工には適した工具だけでなく、切削条件にも注意しましょう。
また、切削条件だけでなく、素材が加工に合っているかどうかという点も重要です。
一例ではありますが、素材がSS400の薄い形状のワークを切削する場合、加工の熱でワークに反りが発生するケースもあります。
このような場合は、材質をSS400からS45C等、他の材質への変更を検討されると良いかもしれません。
(もちろんこれは材質変更が可能な場合に限られ、SS400からの変更ができない場合もあります。)
当社では、使用用途や加工内容に最適な材質のご提案の他、難易度の高い加工や高精度が求められる切削加工を承っております。
加工でお困りのことがありましたら一度ご相談ください。
切削液(クーラント液)を使用する
切削加工中に高温になる状態を避けるために切削液(クーラント液)を使用します。
切削加工は材料を回転させ、工具で削って加工するので摩擦がおきて材料、工具両方に熱を持ち高温になります。
この状態で加工を続けていると工具は溶けて加工できなくなり最悪の場合、加工機械の破損にも繋がるので切削液を使用して冷却をします。
切削液は冷却だけでなく洗浄、潤滑の役割もあるので切削加工の摩擦を減らし工具寿命を伸ばしてくれます。
切削液を使用するとメリットがあるので、切削加工をするときには切削液を使用して加工しましょう。
チップ(インサート)交換式の工具を使用する
切削加工が多い場合は、チップ(インサート)交換式タイプ、スローアウェイバイトの使用がおすすめです。
鉄を削る工具の刃は切削加工が多いと切れ味が悪くなってくるので、そのたびに研磨をして切れ味を良くしないといけません。
ですが、刃の部分が交換式だと刃のチップを新品に交換すればいいので加工時の手間が減ります。
さらに、チップ式の工具には様々な種類のチップ(超硬、セラミックス、ダイヤモンドなど)があります。
SS400に適したチップもあり、加工しやすくなります。
チップ式はコストもかかりますが、生産性を重要視する場合は検討してみると良いでしょう。
切削加工が多い場合は他の材質を検討がおすすめ
切削加工が多い場合は鉄よりも削りやすい材質に変更するのも良いでしょう。
基本的に材質は指定されているため、変更には了承が必要です。
ですが材質変更が可能なのであれば、加工内容に合った材質を選ぶと良いでしょう。
例えば、切削加工が多く、材質が鉄の必要がある場合(重さや磁性など)はSUMという材料を使用するのもひとつです。
SUMは快削鋼という削りやすい成分が入っているため、切削加工が多い場合におすすめです。
削りやすいため、高い切削条件で加工でき、加工時間短縮も可能です。
このように、切削が多い場合は他の材質への変更によってコスト削減、効率化ができる場合もあります。
当社では使用用途に合わせた材質のご提案も可能です。
モノづくりで何かお困りのことがありましたら、ご相談ください。
●当社の加工事例
天井クレーンの内部部品(SS400)
SS400の加工方法につきまして、こちらの記事でも紹介しております。是非ご覧ください。
SS400の加工の種類と材料の特徴や性質、S45Cとの違いをご紹介します
SS400の切削加工は金属加工のエースにご相談ください!
SS400の切削加工について紹介いたしました。
SS400はよく使われている汎用的な素材です。
切削性がよく低コストなので、切削加工に対応できる工場は多いと思います。
発注されるお客様も「安いからSS400!」と選ばれる方もいらっしゃると思います。
ですが、SS400であれば何でも安く作れるかというと、実は違います。
加工内容によっては加工代が高くなる場合もありますので、目的に応じた材質選び、そして素材について知識があり、切削加工を得意としている工場に発注すると良いでしょう。
当社は図面を拝見し、設計の意図を読み取り、お客様の用途やご要望に最適な加工方法や素材についてご提案する事も可能です。
何かモノづくりの事でお困りのことがありましたら、お客様のモノづくりのパートナーであるエースに、まずはお気軽にご相談ください。
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