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C1020の加工で知っておきたい素材の特徴や、エースの事例を紹介いたします

2023年7月28日

C1020の加工性や素材の特徴をエースが解説します!

C1020の加工性は、純銅であるため、展延性、絞り加工性が良いといわれています。

ですがC1020は素材が持つ特徴から、切削などの加工において難点もあります。

このため、断られてしまったご経験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回のコラムでは、東京都大田区の金属加工会社エースが、C1020(無酸素銅)の素材の特徴について、また加工のポイントを解説いたします。

製品を設計したり、加工するときには素材への知識は必要不可欠です。

モノづくりの際の参考や再確認として、ご覧いただければと思います。

 

C1020はどんな素材?特徴や化学成分について

C1020は純銅(※)の1種で、無酸素銅とも呼ばれています。

(※純銅とは、99.90%以上が銅で構成されている銅を指します。)

添加元素がないため、導電性や熱伝導性に優れており、主に電気や熱を使用する製品で選ばれることが多い素材です。

C1020は優れた特性を持っており、一般的に加工性が良いとされていますが、加工の内容によっては適切な取り扱いが求められる素材でもあります。

加工をする際には、C1020の特徴をしっかりと理解を深めておくことが重要です。

ここでは、C1020の特徴や化学成分について、基本的な情報を紹介いたします。

 

熱伝導性、導電性、加工性に優れた無酸素銅

C1020は純銅の中でも酸素の含有量が非常に低い素材であり、熱伝導性、導電性、加工性に優れています。

また「無酸素銅」という別名があるように、C1020にはほとんど酸素を含まないので高温加熱をしても水素脆化が起こりません。

そのため、高温での溶接やろう付けが必要な製品にも適しています。

C1020は前述したように、熱伝導性と導電性が優れているため、電気や熱を効率的に伝えることができるため、電子機器や熱交換器、ブスバー、ガスケットなど、電気や熱を使う製品に多く使われています。

特に、電子機器では信号の安定性や熱の放散性が重要な要素となるため、C1020の優れた性能が活用されています。

柔軟な性質で展延性や絞り加工性などに優れているC1020ですが、その一方で切削時には注意したい点もあります。

このため、適切な加工条件や工具の使い方、冷却剤の適切な利用など、慎重な加工が求められます。

 

C1020の性質(化学成分・機械的性質)

C1020の化学成分は以下の通りです。

■C1020(無酸素銅) 成分

Cu Pb Fe Sn Zn AI Mn Ni P その他
C1020 99.96%

純銅は酸素含有量が低く、比重が大きくなります。

純銅は無酸素銅の他にタフピッチ銅、りん脱酸銅があり、違いは酸素含有量と比重の大きさです。

それぞれの酸素含有量と比重は次の通りです。

種類 酸素含有量 比重
無酸素銅(C1020) 0.001%以下 8.94
タフピッチ銅(C1100) 0.02~0.05%程度 8.89
りん脱酸銅(C1220) 0.01%程度 8.94

このように同じ純銅でも成分は異なり、性質が異なります。

水素脆化を避けるため、高温の環境で使用する製品には、タフピッチ銅(C1100)や、りん脱酸銅(C1220)ではなく、無酸素銅(C1020)を選ぶと良いでしょう。

また、機械的性質から柔らかいので伸びやすく曲げやすい性質であることがわかります。

このことから、絞り・曲げ加工などの加工性は良好と言えるでしょう。

※機械的性質(表)、物理的性質の詳細はこちらで紹介しております。

C1020の比重などの物理的性質や成分などをご紹介。銅の加工はエースにお任せください!

 

C1020の加工のポイントについて

C1020は前述した通り、加工性が良いといわれています。

ですが、一方で切削でバリが出やすく、工具への溶着も起こりやすい事から、加工によっては扱いが難しい材料としても知られています。

こうした「銅ならではの難しさ」から、依頼を断られてしまった経験がある方もいらっしゃるかと思います。

C1020を加工するときは、しっかりと素材の特徴や性質を理解し、ポイントを抑えて行うと良いでしょう。

■C1020の加工時のポイント
・構成刃先を出さない
・変形・反りの発生
・切削油を使い腐食防止

詳しく紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。

 

構成刃先が出ないように加工をする

C1020での旋盤加工の際に大きな問題となるのが構成刃先です。

切削加工における構成刃先は、低速で切削していると、切削している銅の一部がチップの刃先に凝着し、新しい刃先ができたかのように見えます。

構成刃先が付着すると、チップの刃先ではなく構成刃先で切削してしまうため、仕上げ面の品質や寸法精度の低下に繋がり、さらに刃先が欠ける原因にもなります。

構成刃先が出ないようにする対策は以下のとおりです。

・銅専用の切れ味の良く、ワークに合ったチップを使う
・切削条件を見直す

構成刃先がでると品質に影響が出てしまうので、しっかり対策をしましょう。

 

変形(反り)の発生を抑える

C1020をはじめとした純銅は、高回転で切削すると加工熱によって高温になり、反りが発生してしまいます。

特に、マシニングとは違って旋盤の場合、ワークを高回転させて切削するため遠心力がかかり、反りがより大きくなる傾向があります。

反りの発生を抑えるには回転数を調整することである程度は抑えられますが、回転数を落とすと本来の切削条件と変わってしまいます。

そのままの条件で切削をすると、無理をした加工になり、品質の低下に繋がりますので注意が必要です。

反りを抑えるために回転数を調整する場合は、切削条件も変えたほうが良いでしょう。

 

適切な切削油を使用し、腐食を予防

銅は耐食性はあるものの、空気と触れることで腐食が起こりやすい素材でもあります。

腐食による変色は、銅の加工が難しいと言われている理由の一つと言えるでしょう。

切削油によっては銅が化学反応を起こし、腐食(変色)やべたつきの原因になることがありますので、銅に適した切削油をメーカーと相談の上、選定することをおすすめいたします。

特に水溶性の切削油は変色を起こす可能性があるため、基本的には油性の切削油を選ぶと良いでしょう。

銅を加工する際は、適切な切削油を使用し、切削後はすぐに切削油を除去、手袋を着用して手の油を製品につけないなど、細やかな対策が求められます。

 

仕上がり重視の場合、加工を発注する際には注意!

美観重視の製品の場合、銅の加工を発注するときは、銅の扱いに慣れている、得意な会社に依頼すると良いでしょう。

これまで紹介してきた通り、C1020は加工性は優れていますが、加工内容によっては扱いが難しい一面もあります。

依頼するときは純銅を取り扱った実績が多く、得意としている会社に依頼する事をおすすめします。

特に切削加工を依頼する場合は、水を使用するため変色が起こる可能性があります。

仕上がり重視の場合は、しっかりとその旨を加工会社に伝え、相談をしておくと良いでしょう。

 

C1020(無酸素銅)の加工は金属加工のエースにお任せください!

C1020(無酸素道)の加工は当社、エースにお任せください。

C1020をはじめとした純銅をはじめ、銅合金の加工も実績が多数ございますので、ご相談頂けます。

【対応可能な加工】

  • 切削加工
  • 溶接
  • 曲げ加工
  • 絞り加工 等

※上記以外の加工はお問い合わせください。

各工程ごとに自社の検査室で品質検査を行いますので、万が一の不具合が発生した時に迅速に対処できるため、ご要望の要件を満たした高品質な製品を確実な納期で納品いたします。

また、当社は全国に300社以上の加工会社と協力関係にあるため、あらゆる材質、あらゆる加工に対応できます。

協力会社の力を借りる場合、ご依頼の加工内容が得意な工場をコーディネートし、加工を致します。

「銅は取り扱えない」と断られてしまった案件も、当社でしたら対応できるかもしれません。

まずは一度、ご相談頂ければと思います。

 

加工事例について

当社はC1020の加工に対応しております。

C1020の加工実績について、ご紹介いたします。

■電極端子部品の製作(ブスバー等)

■導電部品への加工

銅製の導電部品への91はんだめっき、64はんだめっき加工に対応しております。

また、高速で信号を送る半導体において、スパークを抑える手段として91はんだめっきが有効とされています。

このような半導体チップへの加工にも対応いたしておりますので、課題がありましたらご相談頂けます。

現在、鉛フリーの動きが活発化しており、91はんだめっきを扱える業者が減少し、限られています。

当社は現代の環境問題に対応した「鉛フリー」、従来の「91はんだめっき」、どちらにも対応いたしておりますので、様々なご要望にお応えする事が可能です。

■溶接
溶接の実績がございます。
銅板の屋根材などへの溶接も承っております。

■美観重視の製品への加工
工作機械と製品の間に銅を挟んで固定するなど、加工時の傷を防止した加工にも対応しております。

修正や追加工が必要なもの、めっき加工後の製品や、美観重視の製品など、加工の傷をつけたくない場合の加工にも対応いたしますのでご相談ください。

■金型(銅製)
硬度の高い素材を傷つけずに曲げ加工をする目的で、金型を製作した実績がございます。

上記の他にも、C1020の加工事例は多数ございます。

詳細は当社までお問い合わせください。

 

お客様の課題解決のお手伝いをいたします!お気軽にご相談ください

今回はC1020の加工について、切削加工を中心に紹介いたしました。

C1020など「銅」は軟質で加工しやすい素材ではありますが、切削時には粘りがあり、バリが出やすい特徴もあります。

そのため、C1020の加工を発注する場合は、銅を扱える設備が整っており、得意とする工場に依頼すると良いでしょう。

当社では、C1020などの純銅、銅合金はもちろん、幅広い材料の加工も承っております。

また、切削だけでなくその後の工程も丸ごとお任せいただけるワンストップサービスにも対応しておりますので、煩雑な発注業務、品質管理でお困りでしたらお力になる事ができます。

銅の加工の依頼先でお困りでしたら、是非一度、当社までご相談ください。

※大型のサイズや特殊な形状の場合は、別途ご相談ください。

【お問い合わせ先】
電話:03-3790-5500
FAX:03-3790-5560
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