2023年8月25日
C1100のマシニング加工について解説!材質や加工のポイントも紹介
C1100のマシニング加工は東京都大田区の金属加工会社、エースにお任せください。
C1100をはじめ、銅や合同金は柔軟な性質があるため、曲げ加工や絞り加工に適している材質ではありますが、切削(マシニング加工など)において取り扱いが難しい点があります。
切削加工が難しいという点に加え、高級材であることから加工の失敗を恐れ、普段から銅を取り扱っていない金属加工会社では、マシニング加工などの加工を断ってしまうケースもあります。
当社、エースではC1100をはじめとした純銅や銅合金のマシニング加工等の切削加工に対応しております。
切削だけでなく、その後の加工(絞り、曲げ、溶接、表面処理等)にも対応しておりますので、銅の加工をワンストップでお任せいただけます。
あらゆる材質に対応しておりますのでお困りのことがありましたらお気軽にご相談ください。
今回のコラムではC1100(タフピッチ銅)の材質や特徴、そしてマシニング加工をする際の注意点をご紹介いたしますので、製品設計、製造時のご参考にしてください。
C1100(タフピッチ銅)の特徴や用途
C1100の特徴や用途についてご紹介します。
C1100とは、純銅の一種で「タフピッチ銅」とも呼ばれています。
純銅とは純度99.9%以上の銅のことを指しており、酸素含有量が約0.02〜0.05%のものがC1100です。
C1100は導電性や熱伝導性等、様々な優れている特徴があります。
更に、加工性も優れており、容易にプレス・切削加工ができます。
柔らかいため、マシニングセンターによる切削加工(マシニング加工)もよく行われています。
これに加えて、純銅のなかでも流通量が多く、比較的手に入りやすいといった特徴もあるため、一般的に幅広く良く扱われている素材といえるでしょう。
特性(熱伝導性・導電性・耐食性)
C1100の特徴としてまず挙げられるのは、その高い導電性です。
銅はもともと導電性が高い金属です。
C1100を含む純銅は銅の純度が高いため、銅本来の高い導電性を有しています。
また、熱伝導性にも優れています。
ステンレスの10倍程度の熱伝導率を有しており、一般的に使用される金属材料の中ではトップクラスの熱伝導率を有しています。
さらに、空気中の酸素と反応して表面に酸化被膜を形成するため、耐食性にも優れています。
C1100の詳しい特性について、こちらの記事で詳しく紹介をしておりますので、是非ご覧ください!
C1100の材質とは?成分や物性、加工のポイントについて解説
C1100(タフピッチ銅)の用途
C1100は優れた導電性を持つため、電気を通すための材料として用いられることが多いです。
例えば、電線やプリント基板の銅箔、大電流を通すためのバスバー(ブスバー)などに使用されています。
耐食性がよく、腐食により導電性が下がる危険性が少ない点も、導電材料に適しているポイントです。
また、C1100は熱伝導性にも優れているため、調理器具や放熱部品(ヒートシンク)、熱交換器にも用いられています。
ただし、高温環境下では水素脆化という現象が発生し、遅れ破壊が起こる可能性があるため、用途によっては無酸素銅と呼ばれる純銅が選ばれています。
C1100(タフピッチ銅)と他の純銅(無酸素銅・脱酸銅)との違い
純銅には、C1100以外にもC1020(無酸素銅)やC1220(脱酸銅)といった種類があります。
3種の純銅の最も大きな違いは酸素含有量で、各純銅の酸素含有量は以下の通りです。
C1100(タフピッチ銅) | 約0.02~0.05% |
C1020(無酸素銅) | 約0.001~0.005% |
C1220(脱酸銅) | 約0.01% |
C1020(無酸素銅)はC1100(タフピッチ銅)よりも酸素含有量が小さいため、更に高い導電性・熱伝導性を有しています。
また、後述する水素脆化と呼ばれる現象が起こりにくいといった特徴があります。
C1220(脱酸銅)には、酸素を除去する過程で少量のリンが添加されています。
リンを含むため他2種の純銅と比較して導電性が低いですが、C1100よりも酸素含有量が小さく、水素脆化の心配が少ないというメリットもあります。
C1100(タフピッチ銅)の加工方法について
C1100は融点が低く、柔らかいため、曲げ加工や絞り加工、展伸加工、切削加工に適しています。
加工性が高い特徴がありますが、曲げ加工では強度がないため、厚みのある銅板を曲げるとひび割れてしまう可能性があります。
また、マシニング加工など切削加工ではバリが出やすく、刃先に溶着しやすい点もあります。
このため、「加工性が良い=柔軟に扱える」ということではなく、加工時にはC1100の特性を踏まえた加工を行う必要があります。
また、C1100は酸素を含んでいるので、高温状態になる加工(溶接、はんだ等)の加工は水素脆化を起こしてしまう可能性があるため、不向きといえるでしょう。
高温状態になる加工、使用用途の場合は他の純銅を検討することをおすすめいたします。
C1100を取り扱うときの注意点とは
C1100を取り扱うとき、どのような点に注意すると良いのでしょうか。
C1100に限らず、銅を扱う際に注意をしたいポイントを4つご紹介します。
①変色
最初に気を付けたい点は「変色」です。
銅は空気中の酸素や水分と反応して表面に酸化被膜を生成し、銅本来の金属光沢が失われ、変色しやすい特徴があります。
マシニング加工など、切削加工では水を使用するため、銅の表面に水分が残っていると酸化して変色するといったこともあります。
また、切削加工時にはみみず腫れのような跡も発生する事がありますので、仕上がり重視の製品の場合は、慎重に取り扱う必要があります。
発注する際には、銅の扱いに慣れている業者を選定すると良いでしょう。
②強度
これもC1100だけの問題ではありませんが、鉄と比較すると半分程度の強度ですので、強度が必要な場合には他の素材も検討すると良いでしょう。
材質指定されている場合は、変更が可能かどうか確認をすると良いかもしれません。
当社は用途に最適な材質のご提案も可能ですので、お気軽にご相談ください。
③水素脆化(すいそぜいか)
C1100特有の注意点として、水素脆化があります。
水素脆化とは、水素が金属に吸収されることで粘り強さが下がり、脆くなってしまう現象の事です。
製品が突然破断してしまう「遅れ破壊」の原因ともなるので、製品の安全性に大きく関与します。
C1100は前述した通り0.02~0.05%程度の酸素(酸化銅)を含んでいるため、高温状態で水素脆化を起こしてしまいます。
酸化銅は600℃以上の高温になると、水素と反応して水蒸気が発生し、内部に空洞ができてしまいます。
このような状態になると強度が低下し、割れなどが発生し、不良品となります。
高温環境で使用される場合や、そのほかの加工で溶接やはんだなどの加熱をする加工を行う場合には、C1100ではなく他の純銅を選択すると良いでしょう。
④傷が付かないように注意する
銅は高級材で、柔らかく傷つきやすいため、取り扱うときには傷がつかないように注意が必要です。
ワークを機械にセットする時や搬送するとき、検査するときなど、加工時だけでなく、加工前後でも傷をつけないように取り扱いには充分に注意する事をおすすめいたします。
また、発注する際にも、外観を重要視する場合は、そのことをしっかりと加工業者に伝えておくと良いでしょう。
C1100のマシニング加工の注意点とポイント
C1100は前述した通り、加工性が良いためマシニング加工にも適しています。
(※マシニングセンタとは、プログラムに従って工具を自動交換し、切削を行う装置です。)
銅は柔らかいため、マシニング加工に適していますが、以下のようなトラブルが生じることもあります。
■マシニング加工時に起こるトラブル
・粘り気が強いため、マシニング加工後バリが残る
・融点が低いため、マシニング加工時に高温になると刃先に溶着する
・切削液に不純物(切粉など)の混入によるイオン錆の発生
これらのトラブルを避けるため、マシニング加工をはじめとした切削加工では、様々な点に気を配る必要があります。
考慮すべき因子としては、マシニング加工の切削速度、チップ(マシニング加工時に使用する刃)の材質・形状、切削液などが挙げられます。
以下にて詳細に解説します。
1. 切削条件の最適化
C1100をマシニング加工する際には、様々な条件を考慮する必要があります。
重要な条件の一つとして、マシニング加工の切削速度が挙げられます。
C1100は粘り気が強いため、鉄などと比較するとマシニング加工時の切削に対する抵抗が大きいという特徴があります。
切削速度が低いと抵抗が大きくなるため、高速で切削する必要があります。
工具の直径が一定であれば、回転数を変えることにより切削速度を制御できます。
一方、切削速度が高いと摩擦により温度が上昇し、C1100が刃へ溶着してしまうこともあります。
刃先への溶着は構成刃先になり、切削精度が落ちてしまう可能性があるため、切削条件と合わせて溶着を防ぐことも重要です。
加工業者の銅に適したプログラミング技術、そして加工後の確認がとても大切です。
2. チップの選択と刃先の管理
チップとは、マシニング加工で使用する刃のことです。
バリを残さず、品質の高いマシニング加工を実現するためには、チップの形状・材質を適切に選択する必要があります。
以下のような観点で選択するとよいでしょう。
形状 |
刃先角度が小さく、シャープな刃先を持つチップを選択しましょう。 これに加え、すくい角も大きいと、マシニング加工時に切削屑を排出する性能が高くなり、溶着が起こりづらくなります。 |
材質 |
基本的に超硬素材の刃(K種)を使用する場合が多いです。 K種とは、マシニング加工等に用いられる工具材種の呼び名で、銅やアルミニウムといった非鉄金属を切削するのに向いています。 |
超硬素材の刃の他にも、刃物の表面硬度を向上させるために、コーティング(チタンコーティング、テフロンコーティング)して使用する方法もあります。
また、マシニング加工では、工具の交換タイミングも設定できます。
チップの交換タイミングを適切に設定することにより、マシニング加工の品質を管理することが可能になります。
3.銅の加工に適切な切削液の選択
マシニング加工等、切削時には切削液(クーラント)を使用します。
切削液には水溶性のものと油性のものがありますが、C1100を加工する際は油性の切削液を使用しましょう。
(水溶性の場合、銅と反応してマシニング加工後に変色したり、べたつきが発生する可能性があるため)
この他にも、切削屑の排出促進、摩擦熱低減といった役割もあり、C1100をマシニング加工する際に問題となる溶着の低減にも一役買っています。
マシニング加工をはじめ、銅の切削加工では、加工熱によって銅が刃物に溶着し、構成刃先ができてしまい、削りにくくなってしまいます。
このため、切削時には切削液をかけて冷やしながら加工を行い、構成刃先を防ぎます。
銅をマシニング加工(切削加工)する際には、銅に適した切削油を選び、使用することをおすすめいたします。
また、使用した切削液には不純物が混入するため、イオン錆の原因になりますので適宜洗浄をすることもおすすめいたします。
C1100のマシニング加工は当社にお気軽にご相談ください!
C1100の材質や、取り扱う際の注意点、そしてマシニング加工をする際のポイントを解説いたしました。
銅は高級材で加工にも注意点が必要なため、普段銅を扱わない工場では依頼をしても断られてしまう場合があります。
銅のマシニング加工においてもポイントを抑えた加工が重要となりますので、発注する際には銅の加工を得意としている工場に相談をすると良いでしょう。
ですが、工場の技術の詳細は秘密情報にあたるので、発注側が工場の得意分野や技術を知る事は難しい現実もあります。
当社は自社工場の他に、全国300社以上の工場とパートナー関係にあり、全国の工場の強みや得意分野を把握しております。
ご依頼内容に最適な工場を選定し、高品質・低コストを実現いたします。
C1100はもちろん、あらゆる材質・加工に対応しておりますので、モノづくりでお困りのことがありましたらお気軽にご相談ください!
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